Computex Taipei 2016~エコシステム構築の提案
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4月26日、ホテルオークラ東京にて、台湾発の世界最大級の最新トレードショー「Computex Taipei 2016」(5月31日~6月4日)に関する記者発表会が開催された。中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)葉明水副秘書長の挨拶に続き、出展企業のアドバンテック(株)、デルタ電子(株)、NTT Taiwan LTD.、Socionext Taiwan Inc.から4名のゲストスピーカーが登壇した。
グローバル・テクノロジー・エコシステム
Computexは1981年に創設され、今年で36回目を迎えるサプライチェーンを完全に網羅した世界唯一とも言えるICT見本市である。毎年20カ国を超える(今年は28カ国)国や地域から約1,700社が出展、165カ国以上から13万人以上が来場する。
2016年開催の新コンセプトは、「グローバル・テクノロジー・エコシステム(※)」である。多様なモバイル機器や新しいアプリケーションを取り込み、世界的に発展が加速している近年のトレンド「コンピューティング・エコシステム」をフォーカスしたものとなっている。
このコンセプト実現のために、今年は4つのテーマ「IoT」、「スタートアップ(Startups)」、「ゲーミング(Gaming)」、「スマートビジネスソリューション(Business Solutions)を掲げ、3つの展示エリア(1)「InnoVEX」、(2)「SmarTEX」、(3)「iStyle」を設けた。100を超えるスタートアップ企業が展示する
(1)「InnoVEX」エリア:近年、インターネット業界を中心とするスタートアップ企業の動向が日本を含む世界各国から注目されている。このエリアでは、バイヤー、テクノロジー・パートナーとのネットワーク推進を求めて、100を超えるスタートアップ企業が展示する。期間中には、賞金3万ドルのピッチ・コンテスト(短い時間で自社の製品やサービスを紹介する)も開催される。
(2)「SmarTEX」エリア:革新的なIoTアプリケーション(セキュリティアプリ、スマートホームとエンターテインメント、ウェアラブル、IoVと車載電子商品、3D応用ビジネス、スマート・テクノロジー&ソリューション)やサービスなど世界のスマート・テクノロジー市場の最新トレンドを紹介する。
(3)「iStyle」エリア:アップル社の公認を受けた周辺機器とOS/iOSアプリを展示する。
36回を数える歴史のなかで、日本初の記者発表
今回で36回を数えるComputexであるが、日本における記者発表会は初めてのことである。昨年、複数のメディアで報じられたように、同トレードショーは、ここ数年は微減、微増を繰り返し、全体として横這い傾向にある。Computexと同じ長い歴史を持ち、ラスベガスで世界のPCシーンを牽引してきた「COMDEX」は、約13年前に急に幕を閉じた。さらに、昨年は米国開催の世界最大の家電見本市「CES」が初めてアジアに舞台を移し「CESアジア」が中国・上海で開幕した。そこには、巨大市場へのアピールを目指して欧米の自動車大手が業界の垣根を越えて多数参加した。アジアの雄であるComputexも、危機感を募らせている。
記者発表会に来日した中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)の副秘書長である葉明水氏は、国際見本市連盟(UFI)理事、国際展示イベント協会(IAEE)理事でアジア地域会長、アジア展示会コンベンション団体連合会(AFECA)・中華民国見本市および会議産業協会(TECA)理事長、台湾世界貿易センター運営長などの要職にある人物である。今回、その葉明水氏が挨拶に続き、自らコンセプトの詳細説明を行った。
4,000人のバイヤーが来場する3大買付国
葉明水氏は、熊本地震関係者へのお見舞いの言葉に続き、日本における記者発表の理由を「日本は世界第3位の経済大国で、台湾と日本はそれぞれ重要なパートナーです。とくにIC産業においては、密接な関係が築かれています。Computexには毎年多くの日本企業が出展、日本からのバイヤーは約4,000人で、3大買付国の1つになっています」と述べた。
今、本当に商機を迎えているのは中小企業か
昨今の日台関連では、「鴻海精密工業によるシャープ買収」ばかりが話題となる。しかし、PC関連で言えば、台湾との関係で今本当に商機を迎えているのは中小企業の方である。アベノミクスに陰りが見え、国内経済の先行きが不透明の中で「トリクルダウン」は期待できない。中小企業自らが国際市場に進出しなければならない。
PC関連市場において台湾が世界に占めるシェアは、サーバー(85%)、マザーボード(85%)、デスクトップ(48.3%)、ノートPC(79.6%)と他国を大きく上回る驚異的な数値である。Computexに詳しい有識者は、「たしかに昨年は低調でした。しかし、36年続くComputexの歴史はPCの歴史です。私は親しい中小企業経営者には、『今こそ、出展や来場のチャンス』と申し上げています」と語る。その理由は、現状バイヤーの数は微増傾向にあり、何と言っても日本との距離が近く(あらゆる点で経済効率が良い)、日台両国の国民感情が良好(構える必要がない)と考えるからである。
中華民国対外貿易発展協会(TAITRA)の葉明水副秘書長は「日本の中小企業の技術はとても高いと思います。しかし、その実力に比して国際市場に進出できていないと感じています。ぜひ、Computexという機会を利用していただき、台湾企業と協業して国際進出を目指しませんか!」とエールを送り、会見を締め括った。
【金木 亮憲】
※エコシステム:経営・IT分野の新語。複数の企業が商品開発や事業活動などでパートナーシップを組み、互いの技術や資本を生かしながら、開発業者・代理店・販売店・宣伝媒体、さらには消費者や社会を巻き込み、業界の枠や国境を超えて広く共存共栄していく仕組み。
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