手かざしセントマザー 行政指導無視して違法な施設利用を再開
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手をかざすだけで病が治る―いわゆる「マインドパワー」を取得できるとして、会員から巨額のセミナー代を徴収し、脱税で摘発されたアースハート(福岡県篠栗町)。その事業を継承した一般社団法人セントマザー(福岡市東区蒲田)が、福岡市からの再三にわたる行政指導を無視し、暴走を続けている。
動き出した暴走集団
セントマザーが登記上の所在地としている建物があるのは、市街化調整区域の中。都市計画法の適用を受け、施設建設にあたっては、市の許可が必要となる。その際、一定の条件が付けられるのだが、セントマザーが本拠にしている建物は、「老人ホーム」「医療施設」の目的でしか利用することができないことになっている。
しかし、同団体は2014年の設立直後にアースハートの事業を約3億円で継承。金銭のやり取りが絡む「セミナー」や、マインドパワーを持つ会員だけが加入する『つくしの会』の行事(有志会)のために建物を使用し、都市計画法に抵触する行為だとして再三福岡市の指導を受けていた。NetIB-Newsも、昨年1月と2月の有志会の開催状況を取材。建物の違法な使用実態を報じていた。
鳴りを潜めていたセントマザーが動き始めたのは今年の5月。14日に会員限定の「パーティー」を開催し、バスやタクシーで現地入りした数百名にのぼる会員を集めていた。大阪など、九州県外からのグループ参加もあったことが確認されている。
次いで6月4日、同団体の中でも活動に“熱心”な会員だけが集まる「ワンネスクラブ」の集会が実施され100名近いメンバーがタクシーや自家用車で参集。いずれの集会も、違法な建物使用だったと見られ、一連の実態を把握した市住宅都市局監察指導課も、今回改めて指導を行ったとしている。
セントマザーの前身である「アースハート」を巡っては、2013年1月、アースハートの元社長で実質的な指導者とされる野中邦子氏ら3人が、法人税法違反(脱税)で福岡地検特別刑事部に逮捕・起訴され有罪判決を受けているほか、2011年には、同社に会費を騙し取られたとする元会員らを救済するため結成された被害対策弁護団の尽力によって損害賠償訴訟が提起され、最高裁まで争われた第一陣訴訟は原告側勝訴。第二陣訴訟もアースハート側が原告側の主張を受け入れる形で和解が成立し、第一陣分と合わせ総額約2億7,500万円余りが被害者側に支払われている。
市側による再三の指導は、完全に無視された格好。医療や福祉の目的で建設された施設の違法利用が続くことで新たな被害を生む可能性が高まるのは事実で、関係者の間からは暴走を止められない市側の責任を問う声も上がっている。
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