「爆買い」御三家に急ブレーキ!中国関税引き上げでブローカーの商売あがったり(前)
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高級時計や家電、ブランド品などを大量に購入していた中国人観光客。これまで一本調子で来ていた「爆買い」に、急ブレーキがかかった。中国人観光客が激減したわけではない。今年の春節(2月)以降、カネ払いが良い中国人は、潮が引くようにいなくなった。なぜか――。それは、まとめ買いしてきたブローカーが減ったからだ。
4月以降、免税品売上が激減
「爆買い御三家」と呼ばれる店がある。三越銀座店と松屋銀座店、免税店大手のラオックスだ。この3店の今年に入ってからの売上高の前年同月比の増減率は【表】の通りだ。 爆買いの聖地である華の銀座の百貨店は、3月からマイナスに転じ、5月からは2ケタのダウン。中国人観光客御用達のラオックスにいたっては4月、5月は極端な落ち込みだ。「爆買い」と呼ばれた中国人観光客の消費に急ブレーキがかかった。
日本百貨店協会の統計によると、異変が生じたのは4月から。4月の免税品売上高は前年同月比9.3%減(179億円)と2013年1月以来、39カ月ぶりのマイナス。5月の免税品売上高は16.6%減(134億円)と2カ月連続で前年割れとなった。
しかし、免税品の購買客数が減ったわけではない。5月の購買客数は12.7%増(23万人)と40カ月連続で増えた。客数は増えたのに、売上高は減った。なぜか――。それは、まとめ買いする客が減ったということだ。リピーターが増えて、消費スタイルが変わってきたからと解説されているが、急ブレーキがかかった説明にはなっていない。
売上高が激減した理由は、はっきりしている。“代購(代理購入)”と呼ばれるブローカーが減ったからだ。爆買いは、ブローカーが一役担ったバブルであったのだ。
税制の抜け道を使って荒稼ぎする、ブローカーを締め出す
爆買いブローカーが減ったのは、中国が関税を引き上げたからだ。中国人観光客が日本などで爆買いするのに歯止めをかけ、海外で消費する分を国内消費に回す狙いがあった。
中国政府は4月、越境EC(電子商取引)に関する税制を変更した。事実上免税だった個人輸入扱いの荷物に一般貿易並みの税金を課した。具体的には、高級時計の関税の税率をこれまで30%から60%に、酒や化粧品などの税率も50%から60%に、食品は10%から15%にそれぞれ引き上げた。
それまでブローカーは、個人輸入では課税をかけられないメリットを使って、荒稼ぎしてきた。しかし、一定以上持ち込む商品には、一般貿易なみの税金がかけられるようになった。しかも、税率は引き上げられた。
人海作戦で爆買いしてきたブローカーは、関税引き上げでうまみがなくなった。儲けることができず、ブローカーは姿を消した。これが「爆買いバブル」が終わった理由だ。(つづく)
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