【名門・筑女の異変】長谷川新理事長就任に疑義、実態と異なる登記
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学校法人 筑紫女学園の法人登記は、前理事長・笠信暁氏が6月10日に退任し、6月21日付で新理事長に(株)はせがわ相談役の長谷川裕一氏が就任したことになっている。ところが、実際は、笠氏の退任後、筑紫女学園大学の学長が理事長に就任していた。この事実は登記上、確認できない。
姿を消した「理事長」
筑紫女学園の寄附行為は、第9条4項で「役員は、その任期満了後でも、後任者が選任されるまでは、なお、その職務を行う」とある。登記を見る限り、6月10日に退任した笠氏が、長谷川氏が理事長に就任するまでの間、理事長職務を行ったと考えられるが、実際に行っていたのは当時、筑紫女学園大学の学長である上山大峻氏だった。
資料として、同法人監事の樋口佳恵弁護士が事務局に通知した文書を入手した。その文書には、寄附行為第14条「理事長に事故があるとき、又は理事長が欠けたときは、あらかじめ理事会において定めた順位に従い、理事がその職務を代理し、又はその職務を行う」を持ち出し、第三順位者の学長を務める上山氏が職務代行者になると記されている。
第14条は、いわゆる緊急時規定である。「事故があるとき」と「欠けたとき」に理事長代理と代行の理事長をおくことを規定したものだ。ところが、樋口氏の文書は、笠氏について「任期満了により退任」と明記されている。事故や不測の事態により、急きょ理事長が不在となったわけではないため、緊急時規定は採用されず、ここは第9条4項に従い、笠氏が理事長職務を代行すべきであったのではないだろうか。
つまり、上山氏が、笠氏の後任の理事長ということになる。また、上山氏は、任期満了の笠氏の残任期を引き継ぐことはなく、規定通り任期は3年となる。実際に、上山氏は6月17日に理事会召集通知を発送し、長谷川氏が選任される同21日の理事会では議長を務めるなど、理事長職務を実行した。
長谷川氏の前任者は上山氏であり、登記上も、笠氏の退任、上山氏の就任・辞任(10日間)、長谷川氏の就任という流れになっていなければならない。ところが7月21日現在の法人登記は、上山氏の就任・辞任の事実が一切記載されていないのだ。
「理事の就任、退任の際には実印就任承諾書および辞任届が必要だが、操り人形として利用された上山学長が、その作成提出を拒否されたため、不実記載となったのではないか」(学校関係者)。上山氏はその後、辞表を提出し、山口県の自身の寺院に帰った。浄土真宗本願寺派のなかでも高名な僧侶を蔑ろにし、その不信感を買ったことは、同宗派の学校として将来に禍根を残すことになるだろう。
【山下 康太】
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