マクドナルドがやっと黒字転換 身売り先はどこか?(後)
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日本マクドナルドの身売り問題
日本マクドナルドHDについての最大の関心事は、身売り先がどこになるかという点だ。今年1月、筆頭株主の米マクドナルドが日本マクドナルドHDの一部株式の売却検討を表明した。保有する49.99%の株式のうち最大33%を売却する意向。米本社の業績の足を引っ張っている日本法人を連結決算から切り離し、外部資本を注入して日本事業のテコ入れを図るのが狙いだ。
複数の投資ファンドに売却を打診した。回転ずしチェーンの(株)あきんどスシローに出資する英ペルミラや、6月29日に東証1部に上場したコメダ珈琲店を展開する(株)コメダホールディングスに出資するアジア系のMBKパトナーズ、ファミリーレストラン大手(株)すかいらーくに出資する米ベインキャピタルを名乗り上げた。しかし、半年以上たっても、目立った進展はない。
交渉が難航している要因は、取得額を巡る米マクドナルドとファンド側の大きな開きである。米マクドナルドは33%の株式を1,000億円で売却したい。ファンド側は、株価が理論値の2倍近く割高にあるとして500億円程度が妥当としている。
日本マクドナルドHDの株価は、業績に関係なく、高止まりしている。同社株の5割を米マクドナルドが保有するうえ、4割近くを占める個人株主も株主優待狙いで長期保有しているためだ。マクドナルドのハンバーガーやサイドメニュー、飲み物と引き換えられる年12回の無料食事券を贈る手厚い株主優待がお目当てなので、株を売らない。異物混入など不祥事に見舞われた時も、株価が下落することはなかった。2,600円台と高値圏で推移した。
ところが、同社株に異変が生じた。全国のマクドナルドが「ポケモンGO」のサービス拠点となったことで集客効果に期待が高まり、株価は上昇。8月12日の終値は3,020円と3,000円台を超えた。これで売却値段の交渉はますます難しくなった。
折しも、米通信社ブルームバーグ(16年7月7日付)は「米マクドナルドは、20年間に及ぶ中国と香港のフランチャイズ権を20億ドル(約2,000億円)で売却を計画している」と報じた。中国・香港での売却を優先するのであれば、暗礁に乗り上げている日本マクドナルドHDの売却は先送りされる可能性がある。
(了)
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