「奇跡」は起きない、アビスパJ1残留という必然へ!(前)
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スポーツには数多くの逆転劇がある。9月28日、プロ野球パ・リーグで、北海道日本ハムファイターズが最大11.5ゲーム差をひっくり返し、4年ぶり7度目のリーグ優勝。昨年のラグビーW杯予選リーグ初戦では、日本代表が、優勝候補の南アフリカに逆転勝利。今年のリオデジャネイロ・オリンピックでは、7人制ラグビーの日本代表が、世界ランキング1位で金メダル候補であったニュージーランド代表に予選リーグで逆転勝利した。
こうした逆転劇を「奇跡」として賞賛する向きもあるが、すべては必然の帰結である。スポーツに限らず、文化・文芸、ビジネス、研究の世界など、日々なにがしかの結果を出すために、研鑽を積みながら奮闘している人々にとって、「奇跡」という言葉で片付けることは失礼とも思える。
J1残留争いで崖っぷちに立っているアビスパ福岡が「奇跡」で残留することは断じてない。筆者を含めて外野が「奇跡を信じて」というフレーズで応援することは自由だが、当事者は「奇跡」などと言っている場合ではない。現実を直視すれば、そんな言葉で片付くほど容易な状況ではないことは、当時者の全員がわかっているはずである。
昨年の今頃、アビスパはJ2リーグ戦で無敗のまま勝ち点を積み上げ、そして12月6日に大阪の地でJ1再昇格・復帰の歓喜の中にあった。しかし、今年は苦戦が続いている。決して、昨季のアビスパが圧倒的な強さを誇っていたわけではない。停滞していた時期もあった。それでも、苦境を打破して最高のシーズンを締めくくることができた。
戦いのなかで際立っていたのは、「どのようなケースでも諦めない」という選手および監督・コーチングスタッフの姿勢だった。ワンプレイ、ワンプレイで泥臭くハードワークし、ボールを追い続け、奪い取り、パスをつなぎ、縦横無尽に走り、相手ゴールに迫る。そして心身を張ったディフェンスでゴールを堅守する。90分間、選手がそれぞれの持ち味を出し切っていた。それは日々のトレーニングやミーティングの積み重ねで醸成された一体感と強固な信頼関係を背景としたものであった。今季J1では、少なくともファーストステージまでは昨季と同じ姿勢が見られていた。
(つづく)
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