2024年12月24日( 火 )

「奇跡」は起きない、アビスパJ1残留という必然へ!(後)

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avispa Jリーグが公表する「2015年度 Jクラブ個別情報開示資料」によると、アビスパ福岡の2016年1月期は、営業収益(売上高)16億5,400万円(前期 9億4,700万円)、当期純利益4,900万円(同900万円)と大幅に躍進した。スポンサー数は、16年1月期1,010社(同186社)と大幅に増え、9月29日現在、1,305社となっている。

 レベルファイブスタジアムへの動員や各種プロモーション、アビ芝プロジェクト、サッカースクール、スクールキャンプ、健康教室、ブランドサッカーなどのホームタウン推進活動、各年代別の育成のアカデミー活動など、福岡の市民クラブとして日々前進・進化し続ける活動を実践している。フィールドとフロントが一体となった取り組みが実を結んでいる。

 試合では、開始前に、アビスパの選手一同が自分たちのサポーターへの挨拶に続いて、対戦相手のサポーターへも一礼する。それはアウェーの場合でも同じ。ある地場企業の経営幹部は、アビスパの川森敬史社長の講演会で知り、「アウェーでも行っているとは知らなかった。崇高な姿勢・取り組みである」と語る。複数のスポンサー企業の間では、「アビスパは、誠実に市民クラブとしての活動している。課題もあるが、活動の方向性は正しい。リーグ戦の結果に関わらず、ずっと応援し続ける」という声が多い。

 「J2に降格したら応援しない」と罵声を浴びせる人々がいることも確かだ。しかし、「J1に残留して欲しいのは言うまでもないが、結果はどうあれ、今後もアビスパを応援し続ける」というサポーターが圧倒的だ。アビスパを支えようとする気運は、今後も不変であろう。だが、フィールドは、それらの声援に対して感謝はしても甘んじてはいけない。リーグ戦残り4試合。もはや、チームや選手の力量、技術、戦法など、あれこれ論じる時間は残されていない。今できることは何か――。

 日本ハムファイターズ、2015ラグビーW杯とリオ五輪7人制ラグビーの各日本代表が、強敵に逆転勝利したのは、選手、監督、コーチングスタッフなどフィールド関係者が、どのような境遇でもお互いを信じ切って戦いに挑んだことによる。大谷翔平だけでは優勝することはできない。エディ・ジョーンズなど優秀なコーチの指導だけでも勝てない。

 チームや選手の力量、技術、戦法は当然ながら必要だ。しかし、それだけでは勝てない。まずは11月3日の第17節最終戦の柏レイソル戦。フルタイムの笛が鳴るまで、お互いを信じ切れるかどうかを見たい。これまで積み上げてきたことを信じ、自分自身をマネジメントできるかどうかにある。残り4試合が楽しみだ。

(了)
【河原 清明】

 
(前)

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