2024年11月22日( 金 )

韓国は地震安全地帯ではないのか?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 日本からは西に押す力が働き、フィリピンからは北に押す力が働き、インド側からは東に押す力が働いている。そのため、韓国では日本に比べて、地震を起こす力が蓄積されるまでに時間がかかるかもしれないが、地震が起きないわけではないと、釜山の大学教授は指摘する。
 歴史的に調べてみても、8個の大きな断層と60個以上の活性断層を持っている韓国の南東部は、地震がかなり発生したという記録がある。400年を周期に、大地震が発生したという記録もあって、新羅時代の779年に慶州で大きな地震が発生し、100名以上が死んだという記録もある。

 韓国では、1978年から地震の観測を始めている。その後、今までに発生した地震の回数は、合計で900回くらいである。そのうち、人命の被害が発生した地震だけでも、40回以上は起こっているようである。歴史的に見てもそうだし、それから今回の大地震で、韓国には大地震がないという“神話”は崩れてしまった。

 統計によると、釜山の都心の建物の耐震設計比率は25.6%で、ソウルの場合は、27%だそうだ。5階建以下の低い建物の場合は、耐震設計の対象になっておらず、ほとんど無防備の状況のようだ。
 韓国政府では、このような問題を解決するために、耐震設計をする建物には税金免除の特典を与え、耐震設計を表記することを義務付けようとしている。それだけでなく、断層や活性断層を調べたうえで、断層図の作成や地震計の設置、地震対策の要領などのガイドラインを設けようとしている。“備えあれば憂いなし”ということわざのように、大災害が起きる前に、きちんと備えることはとても大切である。
 韓国ではこれまで、地震がないという認識の下に、地震対策がなかったが、今回の地震は韓国政府に政策の転換を促すきっかけになっている。

mado ソウルや周辺地域では、幸いにして過去200年間、地震活動はまったく発生していない。しかし、仮にソウルでマグニチュード7程度の強震が発生すれば、276万名もの死者が発生するという韓国政府の推計もある。即ち、壊滅的な被害が発生することを物語っている。

 今回の地震が発生した韓国の南東部は、実は韓国国内の原発が集中している地域であり、そのことについても専門家は懸念している。現在、稼働中の原発は10基で、工事中のものを含めると14基になる。
 また、原発の近くには活性断層などが位置しているが、原発を建設する際に、このような要素は考慮に入っていなかったようだ。地震は陸地だけでなく、海洋の活性断層から発生することもあるのだが、もちろん海洋の活性断層についても同様に調べられていなかったようだ。

 韓国の南東部は人口が密集している地域であり、原発が多い地域でもあるため、地震の被害よりも、むしろ2次災害の方が大きくなることを警戒しないといけない。そのようなことが起こらないように、政府当局は今後、耐震設計を導入するなど、徹底的な対策が必要であろう。

(了)

 
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