ミネラル吸収に関する真実（後）

日韓ビジネスコンサルタント　劉明鎬（在日経歴20年）

　それで、ミネラルの不足を解消するため、私たちは健康補助食品を摂取したりする。なかでも、いろいろなミネラルを補うため、マルチミネラル製品を愛用する。

　ところが、このようなミネラル製品は吸収が悪かったり、場合によっては、他の栄養素の吸収の妨げになるということが明らかになっている。このような問題点を解決する方法として、「キレート効果」というのがある。
　キレートとは「蟹のはさみ」という意味で、ミネラルの吸収率を上げるのに役立つことが立証されている。ミネラルを何かでよく包んで吸収されやすい構造に変えるのが、キレートである。キレートすると、吸収だけでなく、有害物質を排泄する際にも効果があるという。

　たとえば、牡蠣を食べる際にレモン汁をかけたりするが、レモン汁にはキレート効果を発揮するクエン酸があるという。
　キレート効果を持たせるのに、一番良い方法はアミノ酸とキレートする方法であるようだが、オリゴペプチドでミネラルをキレートすることで、小腸でのミネラルの吸収を良くする特許技術を確立した会社があって、韓国で話題を呼んでいる。
　人間の細胞は、タンパク質などで構成されているが、タンパク質を分解すると、最小単位であるアミノ酸になる。アミノ酸が２つ以上集まったものをペプチドというが、オリゴペプチドは10個以下のアミノ酸で構成されたタンパク質である。韓国の研究者は、このオリゴペプチドでキレートするのが、最もキレート効果があることを、十数年の研究の末、突き止めている。
　今でもキレートを標榜する製品はすでにあるが、実はキレートされたものではなく、アミノ化された製品がほとんどで、実はあまり小腸に吸収されないという。もともと、アメリカの会社がキレートの製造方法に関する基本特許をすでに取得していたが、今回の開発者はその効果がないことを証明し、特許を引っくり返し、新規特許を取得したというエピソードもある。

　健康には欠かせないビタミン類も、ミネラルがなくては、何の効果も発揮できない。これをオリゴペプチドでキレートするのが最も吸収率の良いことを発見した人は、三豊バイオ＆フードの池ソンギュ博士である。大学では化学を専攻し、博士課程では食品を研究された珍しい経歴の持ち主だ。コツコツと仮説を基に研究を重ね、ミネラルの吸収率を上げる方法を見つけたわけである。
　キレートミネラルのビジネス分野としては、粉乳、飼料などの分野をはじめ、健康食品の原料、化粧品の原料など、利用範囲が広い。池博士は、まずは健康食品会社や化粧品会社に原料を供給する一方、共同で個別の製品の開発などにも挑もうとしている。世界で最も良い素材を使ったミネラル製品の開発、その他の製品開発で提携したい日本の企業を求めている。
　特許をはじめ、理論を立証する科学的なデータはそろっていて、理論的に説明したり証明するのには自信があると、池博士は付け加えた。
　亜鉛成分を使ったマスクパックやシャンプーなど、今後、画期的な商品が生まれそうだ。また、既存の製品はなぜ吸収されないのかというデータも保持しているようだ。

　まったく新しい次元の良いミネラル製品が誕生することを期待し、この情報が皆さんにとっても参考になることを切に願っている。

（了）