ますます高まる朴大統領への退陣要求(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
11月4日朴槿恵大統領は、国民向けに謝罪する2回目の会見を行なった。朴大統領は会見で崔順実(チェ・スンシル)容疑者の国政介入を実質的に認めるとともに、捜査が必要なら応じる用意があるし、その過程で過ちが見つかれば、全責任を負うという発言も行なった。しかし、国民の反応は、大統領の状況認識は甘く、会見文にもっと踏み込んだ発言もなく、謝罪になっていないと、反発を強めている。
その後の展開であるが、朴大統領のスキャンダルは、収束するどころか、ますます泥沼にはまって行く状況である。今回のスキャンダルは、10月24日のJTBCテレビ局の機密情報漏洩の報道から火を噴いたが、その後次々と新疑惑が浮上している。今までデマとして揉み消されていた疑惑が次々に明るみにでて、国民は憤りを超え、無力感に陥っている。朴大統領の40年来の知人である崔順実(チェ・スンシル)容疑者は、機密情報漏洩だけでなく、大臣の人事、外交、軍事などありとあらゆることに介入した痕跡があり、朴大統領を操り人形のようにしてきたことに、国民は激怒している。利権のことだけならある程度理解はできるが、国民が預けた大事な国家権力を、何の見識もない民間人に委ね、大統領自らが法律を形骸化させたことに国民は怒り心頭である。すでに支持率は5%を切るほど信頼を失っているが、これは失政による支持率下落とはまだ性格が違うので、今回はこのままでは収拾できない。大統領の言うことは勿論、検察など権力機構自体に対する不信感が高まっている。
今日も韓国史上最大規模の退陣要求デモが予定されている。予想人数は200万名で、その中には、地方から農業用トラクターで上京している農民もいる。農民たちは、朴大統領がこのまま国民の意思を無視するなら、力ずくでも引き降ろすしかないと言っている。抗議集会は前回までは家族連れも多く、学生やデート族も参加する平和的な集会であったが、今回は朴大統領の居座りは絶対許さないという抗議集会になる可能性が高いので、デモ隊と警察との衝突も懸念されている。大統領府では、検察が朴大統領を参考人ではなく、被疑者扱いをしていること、告訴状に共謀として記載したことに反発し、検察の聴取に一切応じないとしている。国民はこのような大統領の態度の豹変にも憤慨し、退陣要求を強めている。
そもそもなぜこのようなことが起きてしまったのか。保守陣営を代表するマスコミである朝鮮日報と、大統領府の権力闘争の過程で、崔順実スキャンダルに発展したという。朝鮮日報は韓国を代表する新聞社で、保守陣営の筆頭で、今回の政権誕生にも貢献している。しかし、朴大統領は国政運営において、失政を繰り返し、特に人事の面では、失敗ばかりをしてきたので、朝鮮日報では朴大統領を見切って、このような戦いになったのではないかという推測が行き交っている。まだ韓国のマスコミにも報道されていない内容なので、ここでは割愛するが、朝鮮日報と大統領府が互いを攻撃するためいろいろと調べる中で、スキャンダルの中心人物である崔順実容疑者のことがマスコミに流れ、思わぬ展開に拡大したとされる。
(つづく)
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