実録・融資FAX詐欺

　先日、本サイトで「身に覚えのないFAXにご注意を」というタイトルで記事を掲載した。（過去記事はコチラ）掲載からまもなく、ある事業主（A氏）から詐欺被害（約200万円）にあったという情報が寄せられた。

　年末の資金繰りがやや窮屈だったため、資金調達を考えていたA氏。「1.05％」という格安の金利に惹かれ、申し込み用紙を送ってしまったのが、始まりだ。今思えば、このようなFAX一枚を信じてしまったのが、最も悔やまれるところだ。

　詐欺集団は実に見事な電話対応だったようだ。手口を以下に記述する。

　融資額の3％をまず手数料として、振り込むように指示があり、即日振り込んだ。その後、詐欺会社は「弊社と保証会社2社に、10％ずつ保証金として、振り込んでほしい」と指示をした。A社長は何も疑わずに、振り込んでしまった。

　その後、詐欺会社は「振込人名称に不備があるので、正式登録できていない。さっき振り込んでもらったお金は後日、返金を約束するので、再度振り込んでほしい」とA氏に指示。A氏はまだ気づかず、再度振り込んでしまった。

　また詐欺会社から連絡が入る。「またエラーとなっている。再度振り込んでほしい」というのだ。さすがに、「怪しい」と気づいたA氏は解約を申し出た。すると、詐欺会社は解約合意書など複数の書類を送って来たのだ。解約合意書には、返金の期日も記載されており、A氏は安心していた。

　ところが、返金予定日が過ぎても、入金が確認できない。これまで電話連絡できたものが、解約を申し出てから、電話のつながりが悪くなり、返金予定日以降は電話すら繋がらない状況になったという。それで、詐欺だと気づいたのだ。すでに遅かった。

　筆者が相談を受けて、詐欺会社であるFAX送信元の法人登記を確認したが、存在していなかった。FAX送信元の社名・住所を変えて、同じ内容のFAXを複数の企業に送りつけているので、注意したい。

これまでに判明した詐欺会社と思われる法人名は以下。

株式会社エルキャッシュ　東京都中央区日本橋
MSBCダイレクト株式会社　東京都中央区京橋
株式会社アセットイニシア　東京都目黒区中目黒
※いずれも法人登記されていない。

【東城 洋平】