2024年11月26日( 火 )

ビタミンC誘導体とは?(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

hada 韓国の「TS BIO」という会社では、ビタミンC誘導体のなかでも86.3%と、最も含量の高いEAE(Ethyl Ascorbyl Ether)というビタミンC誘導体を選択している。天然ビタミンCの3番炭素の代わりに、エチル基を結合させた誘導体である。不思議なことは、天然ビタミンCもエチル基も単独ではそれぞれ不安定なものだが、2つが結合することによって、とても安定するようになる。
 TS BIO社は、その誘導体に12の後工程を加えることによって、ビタミンCのいろいろな問題点を画期的に改善した化粧品を開発した。同社はその化粧品を10年間にわたって、韓国のクリニックや病院などに納品した実績を誇っている。TS BIO社はイギリスのDSM社から輸入された天然ビタミンを、ビタミンC誘導体に加工されたものを仕入れて、その後に12工程を加えて、パウダー状のビタミンC化粧品を生産している。

 この会社は、ビタミンCをリポソームにナノコーティングすることによって、酸化防止を実現したことはもちろん、サイズを小さくして肌の深部まで届くようにするのに成功した。
 この会社で開発された化粧品は、酸化防止に成功しているため、流通期限は1年6カ月になっているし、製品を開封した後も6カ月間は酸化に耐えられる。
 それにナノ化することで、分子のサイズを画期的に小さくして、肌にちゃんと吸収できるようにしている。人間の毛穴のサイズは、おおよそ50~100ナノ程度であるが、この化粧品の場合、パウダーを肌につけた後にこすると、パウダーが壊れ、サイズが60ナノくらいになり、肌の深部――すなわち真皮まで吸収されるようになっている。なお、ビタミンCとレシチンが一緒になっていて、レシチンはビタミンCを保護しながら引っ張っていく役割を果たす。動物実験などで、ビタミンCが肌の深部までよく吸収されることは立証されているが、一番わかりやすい方法は、この製品の場合は繰り返し化粧品を上塗りしても、化粧品が皮膚によく吸収されるので、皮膚には何も残らない。しかし、他社製品の場合は化粧品を皮膚に2~3回上塗りしただけでも、化粧品が吸収されず、垢のように皮膚に残るのですぐわかる。

 TS BIO社の藩社長は、「これまで10年間にわたって韓国の病院や皮膚科クリニックで実績を重ね、製品の素晴らしさが検証されたので、いよいよ海外進出に挑戦したい」と語っていた。また、12の工程でビタミンCを安定化させただけでなく、サイズを小さくして吸収力を上げた技術は、特許こそ取得していないものの、簡単には真似できない技術であると付け加えた。

 誘導体のなかでEAEという誘導体は含量が一番高く、天然ビタミンと最も類似した効果があるが、それに3%と5%の高濃度に、吸収力を高めたので、ビタミンCの製品のなかでは最高の効果が発揮できるようになっている。また、天然ビタミンCの刺激の強い性質も解決したので、皮膚科でレーザー手術後の肌の沈静や肌の再生などに使われるほど、肌に与える刺激は弱いとのことである。

 ビタミンCはこのように、サプリメントなどで私たちの健康に貢献するだけでなく、化粧品として美容にも活用されている。科学が発達することによって、前述してきたように構造を安定させたり、サイズを小さくしたり、化粧品への活用が増えている。

(了)

 
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