2024年11月21日( 木 )

【検証】八幡物産『北の国から届いたブルーベリー』届出撤回の顛末(3)

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siryou2 八幡物産(株)(本社:鳥取県米子市、八幡清志代表)は2月5日付の書面で、日本アントシアニン研究会が昨年1月7日に申し入れた指摘に対して次のように反論している。

 「本届出は食品表示法の規定に基づく『機能性表示食品の届出等に関するガイドライン』により、事実に基き適正に届出したものであります。貴会からご指摘を受け、今一度確認いたしましたが、何ら不備は見当たりませんでした。従いまして、届出内容の訂正、取り下げは致しません」。

 さらに続けて、採用文献については「totality of evidence」の観点から検索を行い、客観性と透明性を担保した研究レビューを行っているとし、機能性に係る作用機序では、消費者庁が2012年に発表した「食品の機能性評価モデル事業」の機能性評価調査報告書を参考に考察したと述べている。また、文献の1報である「視機能に及ぼすホワートルベリーエキスに効果」が国立健康・栄養研究所(国立栄研)の「『健康食品』の安全性・有効性情報」に有効性RCTとして採用されているとし、原料の同等性についてもガイドラインに基づいて考察している、と締めくくっている。
 その後、同社は3月1日に機能性表示食品『北の国から届いたブルーベリー』の販売を開始した。

 日本アントシアニン研究会は3月17日、代理人のリンク総合法律事務所・山口貴士氏の名義で、上記の回答に対する質問を八幡物産に対して行っている。

 要約すると、「届出受理された製品がミルトセレクトなのか」、「商品に使用されているビルベリーエキスがミルトセレクトと同等である根拠は何か」、「研究レビューで、36%のアントシアニンを含むビルベリーエキスを使用した論文で使用した論文を採択しているが、36%のアントシアニンを含むビルベリーエキス全般に対するエビデンスになると考えているか」、「国立栄研で言及されている論文では、アントシアニンの含有量が25%と書かれているが、届出資料では36%と記してある。論文著者に含有量の掲載が正確かどうか確認したか」、「もう1つの論文『VDT作業負荷による眼精疲労自覚症状および調節機能障害に対するビルベリー果実由来アントシアニン含有食品の保護的効果』では、目の疲労感の緩和は否定されている。にもかかわらず『疲労感を緩和する』と表示した根拠は何か」の5点となる。

 研究会は上記に対する回答期限を14日以内と区切り、回答の有無、内容については、通知人のホームページで公開することもあると付け加えている。
これに対して八幡物産は、代理人の川中・野口法律事務所を通じて、研究会ホームページにおける回答の「公開」が同社と商品の信用を毀損するなど「多大なる影響」を受けるとの理由から、公開を差し止める「仮処分命令申し立て」を東京地方裁判所に求めることにした。

(つづく)
【田代 宏】

 
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