サムスン電子のサプライズ業績(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
韓国のことわざに、「ソウルに行ったことのある人とソウルに行ったことのない人が口論をすると、ソウルに行ったことのない人が勝つ」というものがある。最近、日本の経済評論家の韓国経済に対する評価を聞いていると、残念ながら、そのようなことわざが連想される。
身近な例として、韓国GDPの約20%を占め、韓国を代表する企業のサムスン電子について、日本でも数多くの記事がマスコミを賑わしている。
サムスン電子は「Galaxy Note 7」の発火事件や、それに次ぐ生産中止決定などで、危機に瀕したことは事実であった。サムスン電子の稼ぎ頭は携帯電話の販売だったし、事故発生後も発火原因が究明されなかったので、一部ではサムスン電子の将来を憂慮する声も上がるようになった。それに、国内ではサムスンの実質的な最高経営者である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が朴大統領のスキャンダルに巻き込まれ、崔順実(チェ・スンシル)母子に430億ウォンの賄賂を贈った疑いで特別検察から逮捕状が請求され、サムスンは最大の経営危機に陥るのではないかと噂が広がった。
ところが、中央地裁は特別検察の逮捕状請求を棄却。国民は、韓国の所得格差と財閥に対する不満から、李副会長の逮捕を希望する向きもあった。今回こそ経済よりも正義を優先し、社会改革を実現したいと言う要望である。ただ、サムスンの最高経営者が逮捕されることによってもたらされるショックと経済的波及効果を考慮し、地裁では請求を棄却したと見られる。上記のように、サムスンは内外的に悪材料を抱えていた。しかし、サムスン電子にはまだ崩壊の兆しはなく、堅調なままである。
まず、サムスン電子の株価を見てみよう。サムスン電子が本当に危機的な状況であれば、サムスン電子の株価は暴落するだろう。株価は市場の状況を何よりも冷静に反映するものであるが、サムスン電子の株価は最高値を更新し続けている。
直近3カ月間の株価の推移を見ると、2016年10月18日のサムスン電子の株価は161万4,000ウォンであったが、それから約3カ月後の17年1月26日の株価は、199万5,000ウォンになっている。とくに今年は、5年ごとに回ってくる半導体のスーパーサイクルに当たる年で、半導体生産1位であるサムスン電子には大きな受益が予想され、株価ももっと上昇する可能性すらある。
(つづく)
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