2024年11月22日( 金 )

新たな水産への果敢な『挑戦』(中)

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(株)三陽

ネットワークを構築し業界最後発から急成長

 (株)三陽は、業界で経験を積んだ現代表の長谷幸一郎氏が、1991年3月に福岡県糟屋郡志免町で三陽商店として創業、翌92年4月に(株)三陽商店として設立した。老舗の多い水産業界としては、最後発と言っていいだろう。古参の企業ほど幅を利かす水産業界では、新規参入業者が買参権を取得することは困難を極める。同社も、創業当初は買参権を持たなかったことで、市場での直接仕入れができず、同業者からの仕入れを余儀なくされていた。当然、欲しい魚種や数量の確保が困難なうえ、価格も高く買わざるを得ない。何とか仕入れた魚を東京など全国で売り歩いてネットワークの構築に励み、好機をうかがっていた。

 そうしたなか、創業から7年後の98年に福岡市鮮魚市場の買参権を取得。有利な価格で仕入れができるようになり、これまで築いてきたネットワークが一気に開花することになった。とくに2007年4月に現商号に変更して以降は、勢いに乗って相次いで各地の仲買権を取得。同年だけで長崎魚市場、松浦魚市場、佐世保魚市場と3市場を、翌08年には玄海漁協、唐津魚市場の2市場の仲買権を取得。九州北西部の基幹魚市場における買い付けネットワークを構築することで、玄界灘の豊かな水産物を武器に、ビジネスの幅をさらに広げていった。

 また、同08年に佐賀県唐津市で(株)マルサンフーズを設立し、唐津工場で「いかしゅうまい」などの水産加工品の製造もスタート。10年には福岡市鮮魚市場の地元仲卸業として(株)魚伸を発足させた。さらに、12年9月に長崎県松浦市で(株)ウエストジャパンフーヅを設立し、13年5月には水産荷役業務を行う(株)サンヨウサービスを設立。現在は、5社で三陽グループを形成している。

 業績も年々右肩上がりで推移してきており、今期17年3月期はグループ全体で300億円の売上高を計上する見込み。前出の新工場が本格稼働する来期は、さらなる飛躍を目指している。

(つづく)
【坂田 憲治】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:長谷 幸一郎
所在地:福岡市中央区長浜2-3-6
設 立:1992年4月
資本金:1,000万円
売上高:(17/3連結)300億円(見込み)
TEL:092-718-7834
URL:http://www.sanyo-jp.com/

 
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