2024年12月27日( 金 )

九州地銀の2017年3月期(第3四半期決算)を検証(8)

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 【別表1】は2017年3月期 第3四半期(16年12月期)の金融再生開示債権(以下、不良債権)の順位表である。なお、不良債権は下記の三つに区分されている。

(1)破産更生債権及びこれに準ずる債権・・実質破綻先、破綻先の債権
(2)危険債権・・破綻懸念先の債権
(3)要管理債権・・要注意先の内、3カ月以上延滞債権または貸出条件緩和債権に該当する債権

 これから九州地銀18行の不良債権を検証していくことにしたい。

この表から見えるもの

◆九州地銀の(16年12月期)の総与信残高34兆4,645億円に対し不良債権額は8,146億円。その内訳は(1)の破産更生債権などが1,044億円(12.8%)。(2)の危険債権が5,093億円(62.5%)で一番多く、次が(3)の要管理債権で2,007億円(24.6%)となっている。

・銀行としては全体の87%を占める(2)、(3)のウエイトを如何に減少させていくかが大きな課題となっているようだ。ただ不良債権比率は前期の2.5%から2.36%(▲0.14%)と減少している。

◆不良債権比率の第1位は南日本銀行で6.1%。総与信残高5,819億円に対して、不良債権は355億円。第2位は不良債権額165億円の福岡中央銀行で4.47%。第3位は75億円の佐賀共栄銀行で4.08%。第4位は153億円の豊和銀行で3.72%。第5位は602億円の大分銀行で3.38%。第6位は145億円の宮崎太陽銀行で3.08%で、この6行が3%を超えている。

・第7位の熊本銀行は部分直接償却を実施して2.97%。以下第15位の長崎銀行の2.15%までが2%台。このうち第14位の西日本シティ銀行の不良債権額は福岡銀行に次ぐ1,408億円だが、前期の2.29%から2.15%(▲0.14%)と改善しているのが分かる。

・第16位は福岡銀行で不良債権額は1,584億円。九州地銀18行のうち一番多いが、不良債権比率は前期の2.02%から▲0.23%下げて1.79%(部分直接償却を実施後)となっており、宮崎銀行と北九州銀行と同じ1%台の仲間入りを果たしているのが目につく。

・不良債権比率が減少した銀行は12行で、増加している銀行は6行。その中で気になるのは、熊本銀行が前期比+0.27%、肥後銀行も0.25%増加していることだ。熊本地震の影響と見られ今後の推移を見守ることにしたい。

まとめ

 昨年1月29日、日銀が「マイナス金利政策」を導入したため、九州地銀の収益力は大きく低下している。第二地銀が順位表の上位を占めているが、実態はそれ以上に厳しいとの見方も出ている。不良債権は各行の自己査定となっており、第二地銀も第一地銀と同じ基準で査定を実施しているかどうかが問われているのではないだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】

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