6年続いた「診療報酬請求裁判」と事件の関係は?~堺整形外科医院
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名誉棄損容疑で、(医)堺整形外科医院の元理事長で医師の堺研二容疑者が逮捕された。兄弟間トラブルが事件の背景にあると聞かれているが、取材の過程で新たに、ある裁判の存在が発覚した。
その裁判とは、原告の(医)堺整形外科医院が、被告の福岡県国民健康保険団体連合会に対し、診療報酬を請求したもので、2010年から争われていた。07年から10年にかけて、同医院が連合会に対し、請求した診療報酬が、医院の請求通りに支払われないことで訴えを起こしたのだ。
原告は患者32例で総額約2,340万円の不足分を請求していた。患者はいずれも変形性膝関節症。同医院では、関節鏡視下手術などを施していた。被告は、「同症状においてはまず保存治療が優先される。手術の必要性はなく、過大治療にあたる」と認定し、診療報酬を全額認めず、減額していた。レセプトの分析、手術治療の有用性をめぐって、裁判は長期化。なお、原告が提出した一部のレセプトに関しては、診療報酬請求時と裁判の証拠提出時とで大きく異なることも発覚していた。
16年6月、判決が言い渡された。
「判決 被告は原告に対し、106万円を支払え」。
2,340万円の訴えに対し、認められたのは、106万円だった。裁判所は、連合会が07年9月以前に、同様のケースで一部請求額を支払っていたこと、同じ症例で手術することもあることなどを理由に、診療報酬の支払い義務があることは認めた。ただし、ごく一部だった。また原告の不実記載分は請求を認めないこととし、大幅に減額された。
この判決が何を意味するのか――。判決を受け止めてしまえば、事実上、同医院の治療が行き過ぎたものだったと認めてしまうと考えたのだろうか。判決を不服とした原告は一審の請求通り2,340万円を求め、控訴した。再審されたが、17年3月訴えは棄却され、判決は変わらなかった。時系列で出来事を並べてみると、裁判の判決と、理事長交代、事件発生のタイミングがリンクしているように思える。これは、単なる偶然なのだろうか。
【東城 洋平】
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