2024年11月23日( 土 )

小池都知事は堂々と築地再整備方針明示すべき

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、小池百合子東京都知事は7月3日の都議選に向けて築地市場の再整備方針を明示すべきとし、2つの重要な視点について触れた、6月11日付の記事を紹介する。


小池百合子東京都知事は7月3日の都議選に向けて、築地市場の再整備方針を明示するべきだ。そうでなければ豊洲移転を先延ばししたこと自体の是非が問われることになる。
巨額の資金を投入してしまったから移転するしかないというのは、正しい態度でない。現時点での最善の方策を見出し、断行するべきだ。豊洲移転と築地再整備の双方について、メリットとデメリットを明確にして、そのうえで中長期の視点で、いずれの選択が良いのかを判断するべきである。

築地から豊洲に移転すると、築地は汐留地区と一体化されて巨大なビジネスセンターとして再開発される。この再開発が多数の関係者に巨大な利益=利権を提供する。その「利権」を獲得するために、豊洲移転を強引に推進している人々がいる。この人々は、「今だけ、金だけ、自分だけ」の「三だけ主義者」たちだ。自分の利益になれば、あとのことは何も考えない。自分の利益を獲得するためには、正論も道理もすっ飛ばしてしまう。この手の人々が蠢(うごめ)き、跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)している。

2つの重要な視点がある。

第1は開業後のランニングコストである。豊洲を開業させる場合、巨大な赤字が今後計上され続けるとの試算がある。これが事実なら、この問題を十分に検討するべきである。築地再整備案ではタワーオフィスを建設して、その賃料収入を市場運営費に充当することも検討されている。極めて斬新で有益な検討である。築地を再開発すれば大きなビジネスチャンスが生まれる。
豊洲移転を推進する勢力は、その利益=利権を私的にかすめ取ろうとしているわけだが、築地再整備案はその再開発利益を東京都に帰属させ、その利益で築地市場のランニングコストを賄おうとするものである。どちらの姿勢が正しいのかはおのずと明らかである。

第2の視点は、「築地ブランド」の維持と発展である。豊洲に移転すれば「築地ブランド」は確実に消滅する。
4月27日付ブログ記事およびメルマガ記事「豊洲移転強行論の主因は汐留・築地再開発利権」、「利権まみれ勢力の豊洲移転強行を絶対に許すな」ならびに5月29日付ブログ・メルマガ記事「築地を日本食文化発信拠点として再整備する」、「「今だけ・金だけ・自分だけ」が豊洲移転論根拠」に記述したように「築地ブランド」の価値は極めて大きなものである。
この「築地ブランド」をどぶに捨てるような判断自体が間違っている。

各種の技術が進化している。有害物質まみれの豊洲でさえ問題がないと強弁できるような技術が進化している。築地を再生、再整備する方法はいくらでもある。

日本の食文化「和食」を世界にアピールすることの重要性も増している。海外からの旅行者に、「和食文化」と「築地」をセットでアピールできる。「クールジャパン」などと叫んでいる日本政府が「築地ブランド」をどぶに捨てることは「愚の骨頂」と言うほかない。

小池百合子知事は「築地再整備」の方針を都議選で堂々と訴えて、東京都民の判断を仰ぐべきである。

※続きは6月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1764号「利権まみれ豊洲移転排し築地再整備決断を」で。


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・植草一秀の『知られざる真実』

 

 

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