九州地銀(18行)の決算(17/3月期)を検証する(3)
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昨年1月29日に、日銀がマイナス金利政策を導入したことで、銀行は預金を集めても儲からない状況が続いている。しかし、預金あっての貸出金であり、そのボリュームの利鞘こそが銀行収益の源泉であることに変わりはない。
今回、九州地銀(18行)の2017年3月期の預貸金の動きを検証していくことにしたい。預金残高について
九州地銀(18行)の預金残高順位表【表1】を見ていただきたい。
16年3月期は宮崎銀行が預金残高を大きく増やし、親和銀行を抜いて7位に躍進したが、17年3月期では順位の変動はなかった。
九州地銀(18行)の17年3月末の預金残高は44兆586億円(前期比1兆6,877億円増)。第1位は福岡銀行で、前期比5,085億円増の9兆9,330億円(5.4%増)。07年4月にふくおかFGを設立してちょうど10年。ゴロを合わせて10兆円を目指すことになりそうだ。
第2位は西日本シティ銀行で、前期比2,648億円増の7兆8,127億円(前期比3.5%増)。前年と比べてやや伸び率が低くなっている。
預金残高の増加率を見ると、熊本銀行がトップで8.3%。次が肥後銀行で6.9%となっており、昨年4月に発生した熊本地震の復旧災害資金などの流入と見られる。
次に、九州地銀(18行)のグループ・個別シェア表【表2】を見ていただきたい。
経営統合が延期となっている十八銀行をふくおかFGに加えると、預金のシェアは37.7%。福岡銀行単独でも22.5%となっており、ふくおかFGの圧倒的な強さが目立つ。
九州FGの預金残高は8兆2,975億円(前期比4,603億円増)で、シェアは18.8%。次が西日本FHの8兆588億円(前期比2,591億円増)で、シェアは18.3%。西日本FH傘下の長崎銀行は前年比マイナスとなっており、九州FGに勢いがあるようだ。単独行を見ると大分銀行が2兆8,317億円で、シェア6.4%。次が宮崎銀行の2兆3,938億円でシェア5.4%。続く佐賀銀行は2兆1,562億円(シェア4.9%)となっている。
単独行の南日本銀行以下は1兆円を下回っており、その増加率を見ても苦戦をしているのがわかる。※クリックで拡大
九州地銀(18行)の県別預金残高順位表【表3】を見ていただきたい。
福岡県に本店を構える地銀5行の総預金残高は19兆8,024億円で、全体の45%を占めている。以下、熊本県13.6%。長崎県11.4%。鹿児島県10.2%。大分県7.6%。宮崎県6.8%。佐賀県5.4%となっており、ほぼ県の経済力を反映したものとなっている。
表から見えるように、筑邦銀行を除く第一地銀と第二地銀の預金残高には大きな差がある。人口の減少にともなう地域経済の縮小は地銀全体を直撃しており、これからは第二地銀も巻き込んだ金融再編が、一気に加速することになりそうだ。
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(つづく)
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