日本も台湾も若者の価値観は似通っている~BBA視察団報告(後)
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(株)ハタプロ 伊澤 諒太 代表取締役
「Computex Taipei 2017」のInnoVEX展示エリアには、一般社団法人ブロードバンド推進協議会(略称:BBA、代表理事:宮内謙)の会員のベンチャー企業2社が台湾政府から招聘(しょうへい)され出展した。AIを使った行動情報の分析・調査事業を中心とするレイ・フロンティア(株)とモノづくりとインターネット技術で未来を変える(株)ハタプロである。
かわいらしい、手乗りサイズのフクロウ型ロボット「ZUKKU」が会場の注目を集めたハタプロの代表取締役 伊澤諒太氏に聞いた。オープン・イノベーションという言葉を重視する
――ハタプロと台湾との関係についておうかがいします。
伊澤 ハタプロが台湾とビジネスで関わり始めたのは2012年頃からです。14年には経済部工業局直轄の工業技術研究院(ITRI)とMOU(了解覚書)を締結しました。当時、ITRIは日本のパナソニックやソニーなどの大企業との技術交流はありましたが、日本のベンチャー企業との取引はほとんどありませんでした。
当時、私はまだ20代でしたが、14年頃から台湾ではオープン・イノベーションという言葉が重視されるようになり、卓越した技術を持っていれば、たとえ創業したてのベンチャー企業でも一緒にやっていこうという雰囲気が高まったことも幸いしました。また、当社はすでに、日本では大手企業とIoTを軸にビジネス展開をして、先進的な取り組みを行い、成果を出していたので信頼いただけたのだと思います。技術のある台湾の会社を発掘し易くなる
――昨年10月5日の日本ブロードバンド推進協議会(BBA)と台湾政府工業技術研究院(ITRI)とのパートナーシップ(MOU)締結の陰には伊澤さんの尽力があったと聞いています。
伊澤 ハタプロはBBAの会員企業です。ハタプロがMOUを締結後、工業技術研究院(ITRI)の視察団が日本を訪れた際、私からBBA事務局にご紹介しました。BBAは国際交流については、中国インターネット協会(ISC)、韓国ソフトウェア振興院(KIPA)、豪クイーンズランド州政府など、数々の実績があります。ご紹介申し上げた後はスムーズに運び、昨年のMOU締結に至りました。日台相互の技術交流が円滑に高まっていけば、当社としても、技術を持っている台湾の会社を発掘しやすくなるので喜んでいます。
引き合いは日本以外に、世界各国から頂いています
――今回の展示品「ZUKKU」はすごい人気ですね。どういう商品か教えていただけますか。
伊澤 「ZUKKU」はIBM社のWatsonを活用した、手乗りサイズのフクロウ型ロボットです。音声認識や画像認証センサー搭載で、IoT向け低価格SIMを通じてクラウドに連携して対話、eコマースでの買い物代行、便利な情報配信など生活をサポートする機能が備わっています。
どこにでも気軽に設置できるロボット型のコミュニケーションメディアとして、家と店、生活者と企業をつなげます。持ち運びもしやすいサイズなので、家や店舗だけでなく、車やバスなどのモビリティとの相性も抜群です。
おかげさまで日本だけでなく世界各国(台湾以外に、アメリカ、フランスなど)から引き合いをいただいています。日本の大手自動車メーカーの研究所にはすでに納品が決まりました。実は本日、ITRI発の車載IoTネットワークインフラ構築企業(台湾国内に100万人のユーザーを持つサービスを運営)にも、このロボットの納入が決まりました。今年から実証実験を行い、1年後には全車両に納入する予定です。ベンチャー魂というよりアスリート魂
――すごいスピードですね。伊澤さんのそのバイタリティ、ベンチャー魂はどこから来ているのでしょうか。
伊澤 私は高校までボクシングをやっていました。インターハイにも出場し、大学はスポーツ推薦入学でオリンピックを目指していました。それが、突然目のけがで引退を余儀なくされることになります。そこで、今までスポーツに向けていた情熱を勉強に向けて独学でITを学びました。私の場合はベンチャー魂というより、アスリート魂と言えるかも知れません。スポーツでつらい筋トレ、練習も乗り越えてきていたので、胆力には自信があります。台湾をビジネスパートナーとして見る
――伊澤さんは台湾の同世代の若者をどのようにご覧になられていますか。
伊澤 台湾の若者は日本と比べて、ベンチャーマインドが強いと感じています。また台湾の若者はリアルタイムで日本と同じマンガを読み、アニメを見て育ってきています。日本語もできるので、若者同士は違和感なくコミュニケ―ションがとれます。ハタプロは、今ではフランスやアメリカともビジネスを展開していますが、私にとっての最初の外国が台湾でつくづくよかったと思っています。台湾の良いところは企業規模に関係なくグローバルな販路を持っているところだと思います。日本企業は一般的には、販路は国内で閉じており、大企業でないとグローバルな販路を持っていません。
台湾をマーケットとして見るととても小さいと感じる方もいるかも知れませんが、ビジネスパートナーという視点で見れば、中国はもちろん、東南アジアの大中華圏諸国に海外進出していく場合、日本企業にとってこれほど相応しいパートナーはないと思っています。――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
(了)
【金木 亮憲】<プロフィール>
伊澤 諒太(いざわ・りょうた)
2010年に(株)ハタプロを創業。12年に台湾へ進出、IoT電子機器製造業を開始。アジアの戦略拠点として台湾政府直轄の工業技術研究院(ITRI)と提携。事業で培った先端テクノロジーのアセットを活かしてし、製造業者と協業し様々なプロダクトの開発に携わる。16年に日本の通信会社と共同でIoTジョイントベンチャーを開始。17年に新規事業としてAI搭載の小型パーソナルロボット「ZUKKU」を展開。関連記事
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