2024年12月22日( 日 )

【63億円事件】地価高止まりで地面師暗躍か

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

登記簿
※クリックで拡大

 「地価の高止まりが続くなかで、特に東京では地面師による詐欺行為は散見されていた。いよいよ明るみになり始めたか」(不動産会社社長)
 63億円事件の舞台となった土地の登記簿を確認すると、4月24日の売買予約を原因としてIKUTA HOLDINGS(株)(以下IKUTA)に所有権移転登記請求権仮登記が行われ、同日、積水ハウス(株)へ移転仮登記。本登記の却下を受けて、7月に抹消登記が申請されている。(登記簿参照)
 つまり、所有者になりすましたAとIKUTAが条件付きの売買契約を結んで、IKUTAの権利を積水ハウスが取得。積水ハウスがAと本契約を結んで仮登記だったものを本登記申請したが、添付書面が偽造されたものだったため、却下されたということだったようだ。なお、積水ハウスは本登記申請の際に63億円を支払ったとみられる。
 
 登記申請を行う司法書士によれば、「4月24日の仮登記申請は却下されていないが、本人確認書面は偽造されていたものが添付されていたはず。この時点で偽造が判明していれば、決裁まではたどり着かなかっただろう。しかし、一方でこれらの書類の偽造を見破ることは困難。本件のような取引を防ぐには、必要最低限な書面の確認だけでなく、所有者が不動産を取得した経緯などの聞き取りが欠かせない」と話す。

これまで幾度となく売却交渉があったと思われる本件の土地だが、本人確認書面の写真の顔と実際の所有者が全くの別人であることに対して、積水ハウスはもちろんIKUTAや売買予約契約から売買契約に関わった仲介業者の誰も気がつかなかったのだろうか。

【永上 隼人】

関連キーワード

関連記事