2024年12月23日( 月 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~気がつけばソフトバンクが首位を固める

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 西武が最後の抵抗を見せるのではないかと思って期待をして待っていた試合も、あっけなく菊池投手が初回に3点を取られて終わった、今年のソフトバンク-西武の対戦だった。
それにしても野球の試合の精神的な部分の大きさを菊池投手に見るような投球にソフトバンク12連敗、エースがこの結果では、西武は優勝争いをするのが苦しいだろう。

 今年のペナントレースも、気がつけばソフトバンクがしっかりと首位の位置を固めているというのが、今年の私のパ・リーグの印象だ。何か楽天が大騒ぎして、前回の優勝を彷彿させる勢いを見せていたのだが、ケガ人が少し出て、外国人選手は元気がなくなると同時にチームも失速。そこに出てきたのが西武だった。

 西武のチームは、過去に本当に強いときを知っているだけに、この何年か歯がゆい思いをしながら見ていたが、今年は少し回復に向かい、チームとしての戦いができるような雰囲気をつくり出している。まだまだ本物というには固まっていないが、方向性が見えてきた。
 ショートの源田選手が固定でき、盗塁の新人記録を塗り替えている元気さがチームを刺激しているのがいいのだろう。秋山選手も栗山選手も復活基調で、スキのない野球に向かっていると思う。
 中村、メヒア選手がもう1つ元気がないのだが、山川選手が時として爆発してチームを進めて、浅村選手がコンスタントに良い打撃を見せていて、チームの中心として頑張っている。
 投手陣では菊池投手がしっかりとしてきて、次代を担う多和田投手が頑張り出して、何とか芯ができそうだ。

 この2チームの頑張りで、昨年の日本一のチームの不振がすっかり隠れてしまっている。日本ハムは、チーム内で何か「トラブル」という感じを受けるような不振で、大谷選手に話題を振るしかないようでさみしい限りだ。このオフ、FAの権利を手に入れる中田選手が何か浮いているようで、難しいチームという感じが表に出てきている。スッキリとしたかたちで、選手も頑張りたいだろう。

 そして、連勝したかと思うと、連敗して順位を上下しているオリックス。どうなるのかな。もう、来年の監督の話題を球団の談話として発表。何か、やること、することの順番が違うのではないかな。チームがまとまらない感じが絶えずしているのが、不安だ。
 とくに今年の戦績を見て気になるのが、ソフトバンクに対して5勝-13敗、楽天には4勝-14敗という数字を見ていると、優勝争いというイメージは湧かない。もう少し頑張りたいものだ。

 もう1つが、ロッテだろう。開幕前に、「伊東監督に頑張ってほしい」という思いを込めて2位の予想を立てたのだが、オープン戦で終わった。監督は選手の補強を嘆き、フロントはなかなか良い選手が取れないというコメントを、難しい時期を過ごしての伊東監督の退任である。

 パ・リーグは上位3球団、下位3球団という感じの戦いに見え、6球団でペナントを戦っているという感じには見えないところが、少しある。

 西武はソフトバンクに7勝-13敗という数字で、これでは優勝を競り合えないと思う。ソフトバンクからしたら戦いやすい相手に見え、西武からするとソフトバンクは苦手意識が少しあるチームになっていると思う。ここは来年以降、完全になくさなくてはいけない点だ。

 楽天にしても、西武に7勝-11敗という数字が気になる。優勝争いをしてくるこの時期から頑張るといっても、この時期までに勝った投手は気分良く投げることができ、敗戦を記録した投手はやはり苦手意識が出てくるものと思う。両チームともに1位を追いかけるには、障害を持っているように感じる。
 西武はもう1つ、オリックスに負け越しているのが困るところだ。この時期になると、下位チームには負け越しているようでは困る。

 ソフトバンクの戦い方は、満遍なく各チームから勝ち星を記録して、交流戦で優勝し、ペナントレースに戻っても、しっかりと足場を固めたという中盤からの戦い方は、やはり力のある王者の戦いを見せている。

 2位との7.5ゲーム差という数字を見ると、完全に決まったように見えるかもしれないが…。実はこの時期に大切な、自分のチームと相手チームの「負け数」がどこまで開いているかが大きな力を発揮する。なぜならば、相手の負け数まではコントロールできないからだ。

 ソフトバンクと楽天の負け数の差は、ソフトバンク37個、楽天が41個、西武になると46個ということになり、西武が優勝するには少し苦しいということになると思う。9個の負け数を埋めるには、試合数が少ないと思う。相手の負け数は、待つしかないからだ。

 そこを見ると楽天とソフトバンクは、楽天の頑張りによってはもう一度逆転が起きることもあるとは思うが、西武はCSでどこまで頑張るか、ここになるだろう。

 ただ、良いチームに向かっていることは評価できる。嬉しいことだ。各チームが西武のように、良い方向に向かって素晴らしい試合を毎日ファンの方々に見てもらえるように頑張ってほしいと思う。

2017年8月25日
衣笠 祥雄

 

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