福岡県議会で対策を議論、空気清浄機のレンタルオーナー契約トラブル
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知事職務代理者「不当な取引行為のおそれがある」
若年層を中心とした空気清浄機への出資トラブルが福岡県議会で取り上げられた。22日、民進党・県政県議団の原中誠志県議(福岡市中央区)は、一般質問で、「大学生・専門学校生を含む若年層の消費者被害」を取り上げ、県の認識や、消費生活センター、教育機関、警察での対応について質問した。
原中県議が質問で示した“消費者被害の事例”とは、大学4年生の若者が、空気清浄機を大量に購入すると同時に、購入した機器を賃貸する契約を業者と結んだが、約束されていた報酬が支払われず、契約の解除には応じたが、契約時に約束された解約金を戻してもらっていないというもの。学生は、金融機関から借り入れた200万円を購入代金にあてており、同様の状況にある学生が、福岡大学、西南学院大学、九州産業大学、福岡工業大学などの友人・知人に30人ほどいるという。
知事職務代理者の服部誠太郎副知事の答弁によると、消費者が商品を購入すると同時に、その商品を賃貸する契約を業者と結ぶ『レンタルオーナー契約』に関し、「収益金が支払われなかった」あるいは「解約を申し入れたが購入代金が戻ってこない」といった消費生活相談が、昨年の秋から若年層を中心に増加。服部知事職務代理者は、「不当な取引行為のおそれがある」との認識を示した。
繰り返される、Soft-EX「最後のご協力」要請
Soft-EXの説明資料より
「NetIB-NEWS」で既報の通り、空気清浄機のレンタル事業を手がける(株)Soft-EX(ソフト・イーエックス)は、東京都中央区の本社のほか、北海道、富山、石川、静岡、大阪、福岡(今年5月に閉鎖)に営業拠点をおき、「将来の投資家を育てたい」などと20~30代前半の若者を中心に空気清浄機(1台2万円)のレンタルオーナー契約を勧誘。資産のない若者には金融機関からの借り入れを積極的に勧め、100万円以上の高額な契約を結んでいた。同社関係者によると、購入者の数は、全国に2,500名、九州では福岡市を中心に150~200名という。出資総額は数十億円規模と見られる。
しかし、オーナーへの支払いは今年1月でストップ。以後、支払い遅延が続いており、解約しても解約金の支払いが行われない状況にあるという。その支払い遅延は9月中も解消しない見込みだ。支払いが滞っている「協力金」(空気清浄機のレンタル料の一部)を9月20日までに「一部でも支払う」と通知していたが、9月19日付のメールで「10月2日(月)までに一部でもお支払いできるように考えております」と、レンタルオーナーに通知した。「引き続き最後のご協力をいただきたい」とする同社・高井理道代表取締役。その“最後”は、いつまで続くのだろうか。
支払い遅延の被害に遭っている若者の多くが、うしろめたさから行政機関や学校、両親のどこにも相談できず、苦しんでいる状況にある。今回の原中県議の質問に対する答弁では、消費生活センターの周知活動や教育機関への出前講座、県警の相談ダイヤルなど、現在、行われているさまざまな取り組みが紹介された。しかしながら、福岡県における特殊詐欺の被害総額は、昨年は約6億6,000万円、認知件数は352件で、昨年の約3分の1まで減少したものの、今年8月末現在で認知件数407件、7億4,000万円となり、すでに昨年を上回っている。金融機関の窓口における注意喚起を促すなど、新しい試みを図る必要があるのではないだろうか。
【山下 康太】
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