士業の現状と課題~アップパートナーズ代表に聞く(前)
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医療福祉業界のサポートに特化し、西日本最大級の規模と実績を持つアップパートナーズグループ。税務サポートだけでなく労務や各種経営コンサルタントを置き、クライアントの要望にワンストップ型で応える。
国税庁によると税理士の懲戒処分件数は2014年度までの10年で約3倍の59件に増加。また、日本弁護士連合会(日弁連)によると、弁護士の2016年の懲戒処分件数は114件で、統計を取り始めた1950年以降過去最多となっている。
クライアントからの信頼でシェアを伸ばし続けてきた同事務所。不祥事が増加する業界についての見解を、代表税理士の菅拓摩氏に伺った。(聞き手:弊社執行役員・緒方克美)
変化する税理士業界
――近年、税理士事務所に限らず士業業界全体で不祥事増加による懲戒処分が増加しています。
菅代表税理士(以下、菅) そうですね。特に、一線を退いたOB税理士による名義貸しなどの行為が圧倒的に多いと聞いています。全体の処分増加も、これに起因する所が大きいのではないでしょうか。
税理士会は比較的身内に厳しく、最近は一層啓蒙活動などに力を入れている傾向にあります。それでも処分が増加しているというのは、かなり厳しい状況だと思います。――処分の増加に起因するような、業界の変化などがあったのでしょうか。
菅 一概には言えませんが、大手事務所による価格破壊が業界全体に大きな影響をもたらしたことはたしかでしょう。顧問料などの相場が崩れ、クライアントの料金やサービスに対する目が厳しくなりました。以前は複数のサービスに対して、“一括で顧問料いくら”という考えが主流だったのに対し、今は1つ1つのサービスがいくらかを明示しないと、クライアントにご納得いただけません。多くの事務所が、いかに安くできるかという価格競争に悩まされています。
価格競争に陥ると、新規顧客をいかに多く獲得できるが重要になってきます。数が多い分、スタッフへの負担が大きくなり、1つのクライアントに割くことができる力も減って、最終的にフォローが追いつかなくなります。税理士の質が下がったと聞くこともありますが、こういった状況によるマンパワー不足も一因でしょう。
また、各事務所が1つの分野への特化を目指すようになりました。競合事務所の増加により、事務所の特色を出さなければ新規顧客の開拓が難しいのです。医療業界、飲食業界、美容業界などそれぞれの得意分野にターゲットを絞り、シェア拡大を図るのが最近の士業業界の動向と言えます。
得意分野を昇華させ、クライアントに応え続ける
――本来は知識的な仕事が、労働集約型の業務になりつつあると言えますね。事務所ごとの特色と言えば、御社は医科や歯科など、医療福祉業界に特化していらっしゃいますね。
菅 はい。IT化支援や経営支援などのコンサル業務も広く受託していますが、特に専門といえるのは医療福祉業界ですね。医科・歯科の業界でも不祥事が増加したと聞かれますが、多くの法人経営者は真面目な学術肌の先生方です。そういった研究熱心なクライアントに恵まれ、信頼関係を構築してきたからこそ当事務所の現在の姿があると感じています。
また、労務のご相談が非常に多いことも特徴であり強みだと言えます。当グループには社会保険労務士法人かぜよみがあり、人事問題に特化した特定社労士が在籍しております。特定社労士は労働関係における紛争解決手続き代理業務を行うことが法律的に許されています。このため当事務所では、弁護士さんたちと共同で調停に携わり、労働的な見解のサポートをさせていただくことができます。
(つづく)
【文章・構成:中尾 眞幸】<COMPANY INFORMATION>
税理士法人アップパートナーズ
代表:菅 拓摩
所在地:福岡市博多区博多駅東2-6-1九勧筑紫通ビル9階
設 立:2008年9月
グループ総資本金:1億5600万円
URL:http://www.upp.or.jp/index.php<プロフィール>
菅 拓摩(すが・たくま)
1973年4月24日生まれ、福岡県で育つ。立命館大学院経営学研究科修了。2003年に菅拓摩税理士事務所を開設。2008年に内田延佳税理士事務所と経営統合し、アップパートナーズを設立。同事務所代表税理士に就任した。関連キーワード
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