常に革新を続ける新鋭画家 2018年はさらなる飛躍を期待
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画家・吉武 弘樹 氏
2016年11月、出身地の久留米市から芸術奨励賞を受賞した吉武弘樹氏。今までさまざまな賞を受賞した吉武氏だが、17年はとくに国内外での活躍が目立った年だった。11月には前述の受賞を記念し、地元久留米で個展「BLACK」を開催。暮れには自身の作品が2年連続で筑邦銀行のカレンダーに採用された。18年はさらなる飛躍が期待される画家である。
個展「BLACK」では籃胎漆器からの着想を披露
2016年3月に、未来の巨匠を選出するための賞として名高い「第51回昭和会展」(日動画廊主催)の昭和会賞を受賞。17年は大分のトキハ百貨店や母校の東京藝術大学、台湾の絵画展にも出品するなど新鋭画家として国内外の展覧会に多くの絵画を出展した。17年11月、地元・久留米市の久留米シティプラザで個展「BLACK」を開いた。久留米市地域おこし協力隊の中村透さんらの協力で、地元飲食店とのコラボレーション企画を実施。期間限定で黒にちなんだメニューが登場するなど個展を盛り上げた。
個展では特殊な黒色の絵具や新たな画材を使用し、黒色だけで凹凸を描いた作品が展示された。地元出身の巨匠・青木繁氏の「海の幸」や仏像をモチーフにしたものなど、これまでになかった絵画が展示された。着想を得たのは久留米の伝統工芸品の籃胎漆器。今回の黒作品は、「従来の正面から見た絵画だけでなく、さまざまな角度から鑑賞いただければ」と吉武氏は語る。ある角度から見れば真っ黒な絵だが、動きながら見れば絵が浮かび上がる。光の当たる角度で絵が浮かび上がるという発想だ。
筑邦銀行のカレンダー 2年連続採用
地元久留米の筑邦銀行が18年度版のカレンダーに吉武氏の絵画を採用した。今回採用された絵画は「行進」(16年作成)。17年度版の「サーカス」に続き、2年連続での採用となった。吉武氏は「見て下さる方々が楽しい気持ちになるように描いた。自分の作品が、心に入って素敵な時間の一助になればうれしく思う」と話す。この絵画は地元出身の画家などの作品10点のなかから、同行の行員が投票により選んだもの。画家で生計を立てる場合、いくら才能があっても、さまざまな支援がなければ成り立たない。
そのようななか、地元銀行の温かいバックアップは今後の作品づくりの励みとなる。常識に捉われず、常に新しい作品へ挑戦し続ける吉武氏に期待が寄せられている。
【矢野 寛之】
<プロフィール>
吉武 弘樹(よしたけひろき)
1982年、福岡県久留米市生まれ。2009年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻卒業。11年、同大大学院美術研究科修士課程絵画専攻修了。
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