積水ハウス、恒例のお家騒動 クーデターが勃発(前)
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積水ハウスのお家芸は「内紛」である。会長が社長を解任しようとしたが、逆に返り討ちに遭うクーデターが起きた。放逐された元会長は黙って引き下がらない。マスコミに登場し、解任事件を洗いざらいぶちまけた。地面師に63億円をだまし取られた詐欺事件の責任を、会長と社長がなすりあいをしているのである。
地面師詐欺事件の経営責任のなすりあい
積水ハウスは1月24日の取締役会で首脳人事を決めた。2月1日付で、和田勇会長(76)が取締役相談役に退き、阿部俊則社長(66)が会長、仲井嘉浩取締役(52)が社長にそれぞれ就くというものだ。2月20日付の日本経済新聞朝刊が、和田氏の退任は「解任」だったとすっぱ抜いた。
〈1月24日午後2時から始まった取締役会ではまず、議長の和田氏が阿部社長の退任案を提示した。(中略)積水ハウスの取締役は社外を含めて11人いる。当事者の阿部氏は退室し10人による採決となった。結果は賛成5、反対5。多数がでなかったことで動議は流れた。そして、席に戻った阿部氏の反撃が始まった。まず、稲垣士郎副社長(現副会長)を議長とすることを提案し、これを6対5で通す。その後、緊急動議で和田氏の解任を提案した。和田氏を除く10人の意見は賛成6、反対4。和田氏は辞任せざるを得なくなった。〉
解任劇は調査報告書を巡って起きた。積水ハウスは昨年、東京・五反田の土地を巡って地面師に63億円をだまし取られる詐欺事件に遭い、55億円の特別損失を出した。原因を究明するため、9月に社外の監査役と取締役による調査対策委員会を発足させた。調査報告書の内容を朝日新聞(2月28日付朝刊)は、こう報じた。
〈昨年4月に東京都品川区の土地を購入する契約を結んだ後、「売り主の女性には所有権が無い」ことを伝える、実際の土地所有者からの内容証明を4通受け取っていた。5月22日付けの4通目では、「老婆心ながら・・相当な調査をなされることは、損害の拡大防止のため、必要不可欠」ともあった。だが同社は、内容証明を「怪文書」と判断。(中略)十分の確認をしていなかった。報告書は、社長の阿部氏について「経営上、重い責任がある」と言 及していた。〉
和田氏は各メディアに「地面師に引っかかった自分たちの責任を消すためにクーデターを起こした」と語っている。20年間、社長会長として君臨し、積水ハウスの“ドン”と呼ばれた和田氏が失脚した瞬間だ。
(つづく)
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