久留米欠陥マンション裁判の残る争点「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ不足」(中)
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「新生マンション花畑西」における鹿島建設の補修方法の問題点
(1) 鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さの補修方法が不適切であること。
(2) かぶり厚さ不足箇所に採用された材料が耐火構造に適合しないこと。
(3)かぶり厚さ不足にともなうコンクリートの中性化防止工事が不完全であること。
(4)かぶり厚さ不足箇所が、調査箇所以外にも多数存在する可能性があること。建物の耐久性および構造耐力を毀損する重大な問題
――2番目の「かぶり厚さ不足箇所に採用された材料が耐火構造に適合しない」について説明をお願いいたします。
仲盛 このマンションは15階建てなので、階ごと、柱・梁・壁などの部位ごとに、1時間から3 時間の耐火基準(建築基準法第2条第7)が定められていますが、鹿島建設が補修に用いた材料は不燃材料として認定されていません。
耐火建築物であるこのマンションの構造躯体部分に、不燃材料として認定を受けていない材料を使用し補修を行うことは、建築基準法に適合していないので違法です。
仮に、不燃材料として認定を受けた材料を使用した場合であっても、耐火構造に必要な法定のかぶり厚さを満たしていないため、建築基準法違反であることに変りはありません。――3番目の「かぶり厚さ不足にともなうコンクリートの中性化防止工事が不完全」について説明をお願いいたします。
仲盛 このマンションにおける鉄筋のかぶり厚さ不足に起因するコンクリート中性化の進行が著しかった部分について、第三者の調査会社による調査を行なった結果、コンクリート中性化の進行は、必要被り厚さを大きく超える深さに達しており、鹿島建設が行なった対策工事が著しく不完全な施工であったことが確認されています。
この部分に代表され、建物に多く存在する中性化が著しく進行した部分では、今後、コンクリートの爆裂が発生する可能性が高く、爆裂した結果、高層階(この部分は10F)からコンクリート破片が落下し人身事故に関わる可能性も考えられるので、早急な対策が求められます。現実に、大きなコンクリート片が爆裂により落下しています。――4番目の「かぶり厚さ不足箇所が、調査箇所以外にも多数存在する可能性があること」について説明をお願いいたします。
仲盛 このマンションの1階部分は構造躯体の大半が露出しており、コンクリートのかぶり厚さの調査が比較的容易なので、ほぼ全面的に調査が実施されています。調査の結果、かぶり厚さ不足箇所が調査部分の80%以上におよぶことが判明しています。この実態を踏まえると、2階から15階の未調査部分にも同じような比率で、かぶり厚さ不足箇所が点在すると推認されます。建築基準法に適合しない補修方法で実施されたコンクリートのかぶり厚さの不足部分の問題点とともに、未調査部分が多く存在しているという事実は、建物の耐久性および構造耐力を毀損する重大な問題であるといえます。
(つづく)
【聞き手・文:山下 康太】関連キーワード
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