福博遊技市場の挑戦者として成長～関東地方からの刺客『D』を迎え撃つ（前）

2018年4月24日 13:00

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（株）フェイスグループ

　射幸心を抑えることを目的として、幾度となく規制を受けてきた遊技業界。今年2月の法改正によってエンドユーザーの勝ち額に上限が設けられたことで、業界関係者やファンの間で流れている「パチンコ・パチスロは終わる」といった声に真実味が増してきた。業界内の淘汰は進み、小規模な地場企業では閉店・廃業が増えている。全国展開の大手グループが目立つなか、福岡の地場企業として売上高1,000億円台にまで成長したフェイスグループは、いかにしてこの難局を乗り切るのであろうか。

北九州からの挑戦者

同社初の『フェイス』店舗：フェイス1000前原

　（株）フェイスグループは、1983年3月に設立された遊技場経営業者。設立当初は（株）二十一世紀の商号で活動していた。同年11月に、北九州市八幡西区でパチンコホール1号店となる「21世紀」をオープン。86年11月に2店舗目となる「21世紀高須店」を北九州市若松区にオープンすると、以降、1年ごとに「21世紀飯塚店」「21世紀宮田店」をオープンさせるなど出店攻勢を強めた。

　北九州エリアを中心に基盤を固めていった同社は、90年12月、21世紀各店舗の統括管理を目的として、北九州市八幡西区に本社ビル「21世紀ビル」を竣工させた。翌年には同社初の郊外型大型店舗「21世紀幸袋店」をオープン。既存店舗も、設置台数の増加やそれにともなうリニューアル工事を通じて一部を大型店舗化するなど、集客力の向上に取り組んだ。新規出店と既存店舗のリニューアルオープンの両輪で北九州・筑豊地区の遊技市場で存在感を高める一方、99年12月、同社初となるスロット専門店「プレイス21」をオープンさせるなど、新たな需要の掘り起こしにも努めた。

　同社がそれまでの北九州・筑豊地区での店舗展開から、一気に他エリアへの進出に打って出たのが2002年。同社は、現商号にもある「フェイス」の文字が冠せられた店舗を初出店させた。出店場所は、福岡県前原市（現・糸島市浦志）。オープン当時、周囲が低層建築物や田んぼだったこともあり、そのカラフルな外観と相まって、同店はひと際目を引くパチンコホールとして話題になった。

　新たな店舗ブランド「フェイス」の市場投入をはたした同社は、翌年、北九州と福岡の中間点、宗像に「フェイス800宗像」をオープン。営業エリアを一気呵成に広げていくと同時に、「21世紀飯塚店」「21世紀高須店」の既存店舗名も次々にフェイスへと切り替えていった。そして、04年12月、同社は商号を（株）フェイスグループに変更した。

　勢いに乗るフェイスは、06年12月、「フェイス850佐賀」をオープンさせ、福岡県外への進出も達成。関西（大阪・奈良）、関東（東京）エリアへの出店も成し遂げている。

博多で激突！フェイスvsプラザ

“一撃数十万円”は記憶の中だけに

　福岡県内外への出店を通じて知名度を向上させていったフェイスだが、福岡の中心市街地、天神・博多エリアへの出店は見られなかった。この時期は同エリアで、福岡市内を中心にパチンコホール「プラザ」を9店舗展開する（株）宣翔物産が遊技愛好者からの支持を固めていたことも一因と思われる。とくに博多エリアは、プラザ本店が居を構えるほか、JR「博多駅」筑紫口を出てすぐのホテル「クリオコート博多」の1階と地下1階に『プラザ博多』があり、筑紫通りを進んだ博多駅南には『プラザⅢ』があるなど、好立地を抑えられている。同エリアは、まさにプラザの“お膝元”であり、その牙城を崩すのは容易ではない。

　フェイスが動いたのは11年12月だった。創業の地、北九州からの本社移転を決断。移転先は、パチンコホール「みずほ一銀」跡地の博多区博多駅南。同社はここに、旗艦店「FACE880博多本店」をオープンさせた。プラザの商圏に自ら飛び込んでいった格好だ。グランドオープンからしばらくの間は、“ご祝儀設定（新規ファン獲得のため客が勝ちやすいよう遊技機を高設定にする）”を期待した遊技愛好者が列をなした。競合の激しい同エリアで、常連客を育成できるかが課題だったが、博多本店のオープンから1年を経た同社の13年5月期の売上高は約1,230億円。前期比約30億円の増収という結果を収めた。福岡中心市街地への挑戦は、ひとまず成功したといえる。