スルガ銀行の不正融資を再検証する(前)
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5月15日、スルガ銀行の米山明広社長が18年3月期の決算発表後、記者会見を開いてシェアハウス「かぼちゃの馬車」問題の調査結果を公表。「顧客や株主など多くのステークホルダーにご迷惑をおかけした」と謝罪した。
◆問題発覚後、半年以上が経過しても、これまで「不正に関与していない」という公式コメントを繰り返すだけだったが、経営トップが「経過のご報告」という文書で、二重契約の存在や資料の偽造、改ざんの事実について、「相当数の社員が認識していた」と認めたが、詳細な事実関係については、設置する第三者委員会(委員長・中村直人弁護士)の調査に委ねたいとして、「銀行ぐるみの不正」には言及しなかった。
・その理由としては、シェアハウスのオーナー側被害弁護団がスルガ銀行と、4月9日に倒産した「かぼちゃの馬車」運営会社(株)スマートデイズなどを刑事告発する方針を固めていることに対応するためと見られる。
スルガ銀行について
・静岡県沼津市に本店を置く地方銀行。1887年に岡野喜太郎が結成した共同社を前身として、1895年に根方銀行として設立された。1912年に商号を駿河銀行に変更。2004年から現在の名称であるスルガ銀行を正式名称としている。
・スルガ銀行は、1980年代から個人取引に特化した独自のビジネスモデルを展開。地域経済が縮小するなか、5期連続過去最高益を上げる地銀の優等生であり、地銀に厳しい金融庁の森信親長官からも高い評価を得ていたといわれるが、一気にその座から滑り落ちる事態に直面することになった。
・スルガ銀行は【表1】【表2】の通り、創業家がオーナーとして歴代頭取を務めていたが、2016年6月、18年間頭取の座にあった岡野光喜氏(73歳)が会長となり、執行役員システム部長だった米山明広氏(52歳)が頭取に就任している。米山社長の略歴から推察すると、オーナー家の番頭的な立場にあるようだ。
◆シェアハウスの融資が大幅に増加したのは岡野光喜頭取時代である。就任して間がない米山頭取がどこまでシェアハウス問題の真相に迫れるか。その手腕が問われるとともに、金融庁の緊急立ち入り調査および第三者調査委員会による調査結果次第では、実質的な経営トップへの進退問題に発展する可能性もでてきている。
(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】※クリックで拡大
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