【事件】堺医療グループ・ゴールデンコンビ決裂の真相(4)
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昨年5月、福岡の医療関係者を驚かせる、ある事件が起きた。福岡市南区の(医)堺整形外科医院の元理事長で医師の堺研二氏が名誉棄損容疑で逮捕されたのだ。知人女性を中傷する文書を女性の関係者に送信した疑いだった。
堺氏は医療界でやり手の経営者として知られ、メディアへの出演などで知名度の高い有名人だった。責任ある立場の人間が、なぜ犯罪行為に手を染めたのか。背景には、仲の良い兄弟が巻き込まれた、複雑な人間模様があった。
資金流出疑惑
「これで以前のような関係に戻れる」――研二氏はそう思っていたが、そう簡単にはいかなかった。「Aの開業したサロンに整骨院から金が流れているのではないか。」――そのような噂が関係者のなかで、流れていたのである。実際に、整骨院の決算書では、不明な科目で数字が計上されていた。さらに正孝氏が個人で(株)堺エンタープライズを設立し、同社が開業した施設(院長はAの妹)についても、資金が流れているようだった。整骨院の資産運用は役員の承諾が必要だったため、自由に使えない。だからこそ新会社(堺エンタープライズ)を設立し、開業したのではないか。資金流出疑惑が噴出した。
研二氏は正孝氏に「コンサルをやめて、また一緒にやろう」と提案したが、拒絶されたという。両者の決裂は決定的なものになった。当初、統合を望んだ当人である正孝氏が今度はグループ分割を希望してきた。研二氏は資金繰りも良くなったし、そのままで良いと判断していたが、正孝氏が分けたいと主張し、1年半ほど前から、弁護士を入れてグループ分割の話を進めていた。
とはいえ、グループが分断されれば、整形外科から整骨院へ紹介される患者がなくなる。整骨院にとっては大きな痛手となるはずだ。「そこまでして、分割を行うのはなぜなのか」と金融機関までもが理解に苦しむような話だった。
ところが、正孝氏はグループを分割し、お互いに干渉しないことを望む一方で、患者の紹介は今まで通りしてほしいという一方的な条件を提示してきた。「そんなうまい話はあるものか。」――研二氏は納得がいかなかった。分割するなら、今までのように協力はできない。そのようなやり取りが続く中で、すべての歯車を狂わせたAが憎い。恨みを募らせ、突発的に犯行におよんでしまった。
(つづく)
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