【事件】堺医療グループ・ゴールデンコンビ決裂の真相(5)
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昨年5月、福岡の医療関係者を驚かせる、ある事件が起きた。福岡市南区の医療法人、堺整形外科医院の元理事長で医師の堺研二氏が名誉棄損容疑で逮捕されたのだ。知人女性を中傷する文書を女性の関係者に送信した疑いだった。
堺氏は医療界でやり手の経営者として知られ、メディアへの出演などで知名度の高い有名人だった。責任ある立場の人間が、なぜ犯罪行為に手を染めたのか。背景には、仲の良い兄弟が巻き込まれた、複雑な人間模様があった。
示談書になぜか「整骨院」
しかしながら、5カ所にFAXを送っただけでなぜ警察が動き、逮捕にまで至ったのだろうか。犯罪に詳しい専門家は、「通常警告が出されて、それでも繰り返されるようなら、逮捕はあり得る。ただ今回のようなケースで一発逮捕は珍しい」という。考えられるのは政治力。あくまで憶測だが、整骨院側には地方議員や国会議員の影がちらついており、彼らのなかの誰かが動いた可能性がある。
研二氏の拘留中に被害者Aより示談書案が出された。このような場合、慰謝料や名誉棄損による損害賠償金が焦点となる。しかし、慰謝料に加え、なぜか整骨院・正孝氏に対して、資産管理会社の株式を譲渡するように書かれていた。この事件はあくまで研二氏とAの2者間の話だ。関係のない整骨院が出てくるのはおかしい。
研二氏は「犯罪行為を認めるし、謝罪もする。慰謝料については、数字の根拠を出してもらい理解できれば認める。しかしグループの分割にあたり、整骨院側に有利な示談案となっていたのは、到底応じられなかった」と話している。公判中に出てきた最初の慰謝料(被害額)の金額は3,600万円だったが、根拠が提示されなかった。
「整骨院側は示談案に応じる算段があったのではないか。つまり示談で、不起訴で終わるつもりだったのでは」。関係者の多くがそう感じている。
「あの示談書を見て、そう思った。逮捕当日、整形外科に兄が姿を表し、『逮捕されたからあいつはいなくなる、俺がやるから心配ない』と各部署で言っていたと聞いた。相手弁護士から、このまま起訴されて有罪となれば医療審議会にかけられて免許停止もあり得ると確認通知があった。暗に医師免許と引き換えに条件を飲めということだろう。」(研二氏)
6月末には分割完了
2法人は昨年9月までに、グループ分割の合意書に調印を済ませており、分割されることは決定的だ。分割を想定せず、壊れないグループをつくったために、分割には時間がかかっていた。関係者によると、すでに裁判所から細かい算定額が提示されており、今年6月末までに決済が行われるという。5月中旬、整骨院側に分割する目的を聞いたが、「分割は100%決定ではないので、答えられない」との回答だけにとどまった。整骨院が分割を希望する理由は最後までわからなかった。
(了)
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