【韓国経済】半導体偏重の産業構造の危うさ(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
好調の半導体メモリ企業
半導体は「産業の米」と昔から言われていた。あらゆる産業で競争力の源泉になっているのは、実は半導体だからである。そして最近では、半導体の覇権を握ることなしには天下を取ることはできないと指摘されるほど、半導体の重要性はますます上昇している。半導体のなかでも、データを記憶する半導体メモリの需要は、データの爆発的な増加に支えられ、市場が急拡大。半導体メモリは大きく分けると、DRAMとNANDフラッシュメモリがあるが、その好況の原因は、FAANG時代の到来に起因する。
FAANGとは、F(Facebook)、 A(Amazon)、A(Apple)、N(Netflix)、G(Google)のことである。スマホやSNSの普及などで、データのやり取りは急増しているし、次世代産業として確実されているAI、IoT、自動運転など、新産業の出現で、日増しにデータの急伸が予想され、上記の各社は毎年データセンターの増設に数兆ウォンがつぎ込まれている。一昔前に比べて想像を絶する膨大なデータが毎日発生し、蓄積されつつある。
データは第4次産業革命において、石油のように貴重なものである。データを膨大に蓄積し、それが分析できてこそ、真の競争力の確保になる。このような市場状況で、韓国のメモリ半導体企業であるサムスン電子とSKハイニックスは絶好調。2018年第2四半期現在のDRAMの世界シェアは2社合計72%。NANDフラッシュメモリの世界シェアは2社合計49%である。
高まる半導体偏重のリスク
半導体産業の好調は、株式市場の時価総額にも如実に数字として現れている。株式市場全体の時価総額のなかで、半導体関連銘柄の時価総額は25%を上回るようになっている。もっと正確にいうと、半導体関連銘柄の時価総額は、株式市場の時価総額1,920兆ウォンの26%に当たる499兆900億ウォンになっている。半導体関連の時価総額は2011年全体時価総額の16.4%を占めていたが、その後数年間で比重が増加している。
しかし、半導体の好調は韓国経済にとって良いことばかりではないという報告書が出て話題を呼んでいる。それでは、絶頂の半導体産業にどのような課題があるのかを見てみよう。
まず、半導体産業の比重が大きくなることによって、半導体産業は韓国経済全体との相関関係が高くなったことが上げられる。韓国産業銀行の分析によると、韓国経済と半導体産業の相関係数は1999~2008年は0.46であったが、09~17年は0.82になっている。この係数は1に近いほど、2つの要因が同じ方向に動くことを示している。
周知の通り、韓国は輸出依存度が高く、輸出のなかで半導体が占めている割合が高いが、それは半導体産業が低迷すれば韓国経済に大打撃を受けることを意味する。韓国輸出のなかで半導体の割合は、2013年には9.0%であったが、2017年には16.1%に増加している。近年韓国の輸出のなかで半導体の割合が増えたことが良くわかる。しかし。半導体産業は変動性が大きいだけに、この産業への偏重が懸念されているのだ。(つづく)
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