佐々木允前福岡県議、名誉毀損訴訟の請求放棄で終結 辞職にともない補選へ

 前福岡県議会議員で元副議長の佐々木允(ささき・まこと)氏が、政治系YouTubeチャンネル「センキョタイムズ」の運営者2人(大井忠賢氏、元木哲三氏)および関連会社2社((株)選挙テックラボ、(株)チカラ)を相手取った名誉毀損訴訟の請求を、4月25日付で放棄した。これにより、訴訟は終結した。

 佐々木氏は、2023年11月20日と12月5日に「センキョタイムズ」が投稿した動画およびその概要欄に、「同僚県議との不倫やセクハラ」「県議員や秘書へのパワーハラスメント」などの事実無根の記載があるとして、同年12月に福岡地裁に提訴。訴状では、損害賠償と動画の削除を求めていた。その後、24年4月22日と5月13日に投稿された追加の動画(動画3、4)についても、賠償と削除を請求に加えていた。

 24年12月6日の一審の福岡地裁判決では、動画1の削除と被告3人(大井氏、元木氏、選挙テックラボ)に対して計110万円の賠償を命じ、動画3および4についても真実性の立証がないとして原告側の一部請求を認めていた。ところが、佐々木氏は控訴審(4月25日、福岡高裁)を前に請求を放棄し、訴訟を終結させた。なお、4月22日付で佐々木氏の代理人弁護士が辞任していた。

 訴訟終結後、「センキョタイムズ」側は報道陣に対し、「政治家のスラップ訴訟であり、言論の萎縮を招く不当な裁判だった」と佐々木氏の対応を批判。「多くの政治系ユーチューバーが注目しており、言論の自由を守るため追及を続ける」と述べ、佐々木氏が所属していた立憲民主党県連の責任も問う姿勢を示した。

控訴人となった政治系ユーチューバーの元木哲三氏と大井忠賢氏
控訴人となった政治系ユーチューバーの元木哲三氏と大井忠賢氏

 佐々木氏は4月25日付で蔵内勇夫県議会議長に辞表を提出し、受理された。これにより、定数1の福岡県議選田川市選挙区で補欠選挙が実施される。

【近藤将勝】

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