2024年11月24日( 日 )

九州地銀(18行)の18年3月期決算を検証する(3)

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 一般企業の売上高にあたる銀行の経常収益の内訳は以下のようになっている。

(1)資金運用益(貸出金利息・有価証券利息配当金・コールローン利息・預け金利息など。

(2)役務取引など収益(受入為替手数料など)。

(3)その他の業務収益(外国為替売買益・商品有価証券売買益・国債等債券売却益・金融派生商品収益)。

(4)その他の経常収益(貸倒引当金戻入益・償却債権取立益・株式等売却益)

 となっているが、あくまでも銀行の安定的な経常収益の源泉は貸出金利息である。

(2)貸出金利息(18/3月期)について 【表1】を見ていただきたい。

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<この表から見えるもの>
(a)貸出金利息と貸出金
◆貸出金利息の1位は福岡銀行で998億9,700万円。貸出金を前期比5,867億円増加させたことにより24億2,900万円の増加となった。そのため経常収益に占める貸出金利息の比率は前期の56.4%から1.7%増の58.1%。となっている。

◆2位は西日本シティ銀行で799億2,900万円。貸出金を前期比2,616億円増加させたものの、貸出金利息は前期比▲5億3,600万円となり、経常収益に占める比率は前期の59.0%から57.1%と1.9%減少している。

◆九州地銀18行のうち、貸出金利息が前期より増加している銀行は1位の福岡銀行、4位の肥後銀行など6行しかない。
・ただ良く見ると貸出金利息の増加額は少ない。貸出金が前期比+1,854億円の肥後銀行でも貸出金利息の増加額は6,600万円。以下、宮崎銀行+1億300万円、佐賀銀行+8,800万円、北九州銀行+2億5,900万円。佐賀共栄銀行+5,000万円となっている。

◆西日本シティ銀行と同様に、貸出金を増やしても本来業務である貸出金利息が前期より減少している銀行は12行もある。日銀のマイナス金利政策の影響は大きく、地方銀行の厳しい収益環境は今後も続くことになる。

(b)貸出金利について

◆18年3月期および17年3月期の貸出金利息をそれぞれの期の貸出金で割って貸出金利を出したものである。やや粗いが一応の目安となるのではないだろうか。

◆九州地銀18行の平均貸出金利は1.18%となっている。貸出金利が一番低いのは北九州銀行で0.97%。一番高いのは南日本銀行で2.28%。北九州銀行は設立して間がないため低金利を武器に積極的に貸出金を増加(前期比+928億円)させているのが読み取れる。一方南日本銀行は前期比わずか2億円の増加に止まっている。増加させたくても安い金利では貸せないというのが真相のようだ。ちなみに競争相手の鹿児島銀行の貸出金は前期比+1,897億円と大幅に増加させている。鹿児島銀行の貸出金利は1.11%で、その差は倍以上の1.17%となっており、金利の壁が大きく立ちはだかっているようだ。

◆北九州銀行の次に貸出金利が低いのは肥後銀行で前期比▲0.06%の1.03%。福岡銀行の貸出金利は前期比▲0.04%の1.05%。西日本シティ銀行の貸出金利は前期比▲0.05%の1.17%となっている。全体を見ると第二地銀の金利が高いのがわかる。

◆【表2】は長崎県3行の貸出金利である。福岡FGと十八銀行の経営統合の動きが最近、再び出てきている。長崎銀行に債権譲渡や店舗譲渡してでも経営統合をしたいとしているが、この貸出金利からも見えるように、まだまだ越えるべき大きな障害が横たわっているのではないだろうか。

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(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

 

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