2024年11月22日( 金 )

【豊洲市場訴訟】原告の築地仲卸業者らが総決起集会を開催(中)

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 東京都・豊洲市場(水産仲卸売場棟)の建築基準法違反に関して、市場移転に反対する仲卸業者らが6月29日に東京都に問題となる建物の除却命令を求める訴訟と、7月9日に使用禁止命令の義務付けを求める仮の義務付け申立を東京地裁に提訴した。除却命令義務付け訴訟の第1回口頭弁論の期日は、9月21日午前11時(同地裁419号法廷)に決定。7月12日、この提訴・申立を受け、築地市場内の厚生会館大会議室で「築地を活かし豊洲を止める7.12総決起集会」が開催された。

市場問題PTの出来レース

 技術支援を行う仲盛氏

 建築構造専門家としての立場からボランティアで技術支援を行っている仲盛昭二氏からは、訴訟の争点となる豊洲市場の建築基準法違反に関する説明があった。

 「市場問題プロジェクトチーム(以下『PT』)には、建築関係者も出席していたが、豊洲市場の問題点を追求できる空気ではなかったのではないか。PTには、日本建築構造技術者協会(通称『JSCA』)という建築構造専門家の団体の森高会長が出席していたが、日建設計による不適切な設計を追求するどころか、擁護していることが、PTの議事録を見るとよくわかる。

 PTには、日建設計側の説明者として、日建設計の常木康弘常務が出席し、委員たちに説明を行ったが、この常木氏こそ、JSCAの副会長である。つまり、同じ業界団体であるJSCAの副会長が弁明の説明を行い、同じ団体の会長から擁護するという、呆れた光景が大真面目に繰り広げられ、これに異議を唱えることも封じられていたため、豊洲市場の建築基準法違反は『PTにて解決済』と結論付けられたのである。

 このような行政のご都合主義を許せないという気持ちから、福岡の地から訴訟に踏み切ったが、東京地裁からは「福岡の人に原告適格はない」と、1回も口頭弁論が開かれることなく、訴状受付から4カ月後に訴えを却下する判決が一方的に送り付けられてきた。今回、宮原さんたち5人が原告として立ち上がり、提訴されたことは、我がことのように感慨深いものがある。

 東京都や日建設計は、マスコミからの取材に対し、『東京都から検査済証が交付されているので、構造計算も問題ない』と回答しているが、検査済証は、図面通りに施工されているかをチェックする完了検査により交付される書類なので、構造計算が適切かどうかをチェックするものではない。ちなみに、あの姉歯関係の物件に対しても検査済証は交付されているので、構造計算をチェックするものではないことが理解できると思う。このような日建設計の説明は、都民や市場関係者を馬鹿にしたものである」(仲盛氏)

 その後、質疑応答が行われ、参加者からは積極的な質疑が相次ぎ、この訴訟に対する関心の高さを物語っていた。また、集会には、豊洲への移転推進派の関係者も多数参加していたが、終了後、原告団を激励する光景が見受けられた。

 参加者からは、「会社としては移転に賛成せざるを得ないが、個人としては、あんな危険な豊洲に行きたくはない」「市場の機能としても成り立っていない。絶対に破綻する。その場合に、東京都が我々に補償をできるのか?」「東京都は、銀座に近い立地の築地市場跡地を再開発したいがゆえに、強引に移転を進めているだけだ」という意見が寄せられた。

 総決起集会終了後、原告団にカンパする人が相次いだことから、今後、訴訟に賛同する仲卸業者が加速度的に増えることが考えられる。

(つづく)
【伊藤 鉄三郎】
 

(前)
(後)

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