【特別寄稿】豊洲市場訴訟で表面化する政商・日建設計の闇(中)
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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
疑問や反対の声がいまだ根強く残る東京中央卸売市場の移転問題。新たに建設された豊洲市場は、建物の設計に関し、市場関係者から機能性の問題が指摘されているだけではなく、既報の通り、水産仲卸売場棟の建築基準法違反への疑問が浮上し、ついには訴訟にまで発展した。東京都・小池都政は、市井の疑問の声に向き合わず、今年10月11日に移転を強行してしまうのか。この建物の設計上の問題を指摘した(協)建築構造調査機構の仲盛昭二代表理事は、建築構造設計の専門家および長年、建築設計業界に携わってきた経験から、この訴訟について以下のように語っている。
「政商・日建設計」
豊洲市場の基本設計・実施設計は、特命随意契約で日建設計に12.7億円で委託された。
同社のホームページには、JSCA賞(日本建築技術者協会)、CFT構造賞(新都市ハウジング協会)、プレストレストコンクリート技術協会賞、耐震改修優秀建築など表彰、日本コンクリート工学協会賞、CFT構造賞、日本構造デザイン賞など、構造技術に関する受賞歴が誇らしげに紹介されている。
数々の表彰が並んでいると、すべての物件の設計が優秀であり、建築基準法を始めとする関係法規に適合している設計が行われているものと錯覚させられる。しかし、豊洲市場水産仲卸売場棟の設計における建築基準法令違反は紛れもない事実なのである。
日建設計の設計実績には、公共建築物、学校、病院などで著名な施設が多い。これらの施設の設計が、表彰に値する内容であれば問題ないが、豊洲市場の設計における建築基準法令違反が「氷山の一角」だとすれば、氷山の隠れた部分が全国に多く存在している建物であり、背筋が寒くなる。
公共建築物の場合、民間の建物における「建築確認」ではなく、「計画通知」と呼ばれる制度で審査が行われる。審査が適切に機能しなければ、豊洲市場のように、建築基準法令違反を見逃すという行政の失態(豊洲市場の場合は意図的)を招くことになる。
豊洲市場・水産仲卸売場棟について、東京都による「計画通知」の審査は甘い。馴れ合いとしか言いようがない。ほかの行政庁でも同様のことが起きてはいまいか。九州では、今年1月に業務を開始した長崎県の新庁舎の設計を日建設計が行っている。業界においては、日建設計が行政と深い関係にある『政商』であることは、誰もが認識している。
日建設計と東京都、そして、建築構造技術者の団体である日本建築構造技術者協会(以下「JSCA」)との関係の深さ、馴れ合いの構図は、私は身をもって体験してきた。
(つづく)
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