2024年11月14日( 木 )

どうなる?(株)北斗産廃不法投棄問題(4)~明らかになった排出事業者の回答状況

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 佐賀県鳥栖市で産業廃棄物の中間処理場を運営していた(株)北斗が起こした不法投棄問題。事件発覚から4年が経過した今年7月、鹿児島県に不法投棄された廃石膏ボードの処理をめぐり、同県は排出事業者に対して自主撤去の方針を照会した。北斗関係者らによる自主撤去が進まないまま、ついにその責任が排出事業者に向けられたかたちだ。7月末に開催された鹿児島県による説明会には、北斗に処理を依頼した排出事業者が多数参加。「納得できん!」―と、参加者からは不満の声が相次いだ。

膨らむ撤去費用

 全事業者に通知した自主撤去対象量は、県が公表した8,500m3よりもはるかに大きな数字になると考えられる。これについて、鹿児島県廃棄物・リサイクル対策課に確認したところ、「(個別に排出事業者に通知した数量の合計は)計算していないし、公表していない」との回答だった。事業者リストを基に、数字は集計されているはずだが、それを公表しないのはなぜなのだろうか。

 最大の不満点は、やはり撤去にかかる費用面に関するものだ。一見、「排出した分だけ、撤去する」というわかりやすいものに映るが、今回の事情は少し異なる。排出事業者からすると、もう一度処理費用が発生することで2重払いを強いられることになるが、今回は3~4倍の費用をかけて処理しなければならないという現実がある。

 廃石膏ボードを排出した当時は再利用可能だったため、処理費用が安かったが、不法投棄され水を含み、品質が劣化している現在、管理型処分場での処理となり、費用が高額となるのだ。「北斗にもち込んだときの3倍以上の費用が必要となる」―説明会参加者から質問が集中したのは、この点だった。

 業界関係者によると、「水を含んだ廃石膏ボードは再利用できないため、管理型処分場での処理となり、1m3あたり3万5,000円ほどになる」という。前述の1社で処理費用を計算してみると、県の通知した自主撤去対象量が5,000m3超であるため、単純計算で2億円近くの費用がかかることになる。これを実際払うことになれば、中小企業にとって、あまりにも大きな損失であり、すぐに決断できることではないだろう。

行政の対応はいかに

 「事の成り行きをみるしかない」―AかBを選択することなく、しばらく見守りたいというのが、排出事業者の本音のようだ。

 8月13日の回答期限を過ぎて、取材班は鹿児島県に自主撤去の回答状況を尋ねた。県によると、8月13日の回答期限時点で、回答したのは約280社。Aを選択したのは約20社、Bを選択したのは約150社。そして、「そのほか」のCを選択したのは、約110社だという。Cのなかで最も多かったのは、撤去方法ではなく、「もっと時間がほしい。回答を待ってほしい」というものだったという。時間的な問題もあり、明確に撤去方法を選択したのは500社中たった170社で、残りははっきりしない。このような状況で県が一方的に撤去を進めることは難しく、排出事業者を納得させる根拠や説明を重ねていくしかない。

 もともとは、佐賀県が許可を交付した業者が起こした不祥事だ。管理責任がないわけではないだろう。不法投棄された鹿児島県だけが対応するのではなく、佐賀県も同席、さらには北斗関係者も同席させるなどの配慮が必要ではなかったか。「実際に撤去が始まるまで、数年かかる」と関係者。一連の問題解決まで、まだ時間がかかりそうだ。

(了)

【東城 洋平】

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