2024年11月24日( 日 )

韓国の国民食「ラーメン」(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 袋麺の販売は減少傾向にあるものの、カップ麺の販売額は伸びている。カップ麺はお湯を注ぐだけで食べられるので、その利便性が、忙しい現代人に受けいれられているようだ。このような市場のトレンドを受け、ラーメン販売のなかでカップ麺の割合は、2011年に29.2%だったものが、昨年は37.4%に伸びているし、その伸びは今後も続くと見られている。

 ラーメンをスーパーで購入するより、コンビニで購入するという行動パターンが定着し、ますます拍車がかかっている。日本の場合、すでにカップ麺の販売が袋面販売の2倍ほどになっており、この方向性は間違いないことを証明している。

 それでは、インスタントラーメンの世界市場に目を向けてみよう。世界ラーメン協会によると、2016年の世界消費量は約975億食で、2012年の1,018億食個に比べると、4.2%も減少している。その背景としては、インスタントラーメンの消費量が世界一で、世界の消費の4割を占めている中国で、消費が減少していることが影響しており、直近3年間で需要が2割近く減っているらしい。中国の都市部を中心に飲食の宅配サービスが急速に発展したからだ。またインスタントラーメンの主要消費国の1つである米国、韓国などでも、塩分は体によくないという認識が広まり、消費に悪影響を与えている。

 世界市場での国別のインスタントラーメンの消費量を見ると、2016年基準で、中国/香港(39.5%)、 インドネシア(13.3%)、 日本(5.8%) で、上位3カ国で全体の58.6%を占めている。 韓国は世界全体の3.9%で、7位にランクしている。

 世界的には販売が減少しているものの、日本のように売上高を伸ばしている国もある。 日本のインスタントラーメンの市場規模は2017年の60.0億ドルから、 2021年には66.2億ドルと10.3%伸びることが予測されている。日本のメーカーは、塩分とカロリーをカットした新商品を市場に積極的に投入することにより、それが功を奏している。

 最後に、韓国企業の輸出状況についてみてみよう。昨年韓国は8億8千万食のラーメンを海外に輸出している。とくに、中国への輸出は63%も増加している。中国とはサード配備が問題になり、中国輸出に異常をきたしているなかで、インスタントラーメンの輸出は堅調だ。韓国の農林畜産食品部によると、2016年の輸出額は140.8%も増加したという。2017年の輸出額も3億8,130万ドルで、前年対比で31.2%伸びている。

 韓国のインスタントラーメンの主要輸出国は中国(25.9%)、米国(12.3%)、日本(6.6%)、台湾(5.6%)、豪州(4.4%) などの順で、上位5カ国が全体の54.8%を占めている。

 輸出企業のなかでは、「辛ラーメン」を生産している「農心(ノンシム)」の昨年の海外売上高は、6億4,500万ドルを記録し、今年は8億1千万ドルの売上目標を掲げている。農心は、昨年米国のウォルマートの全店舗4,692店で辛ラーメンが販売されるようになった。農心のような企業が先頭に立って、韓国のインスタントラーメンが世界に輸出されている。

(了)

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