韓国食品の代表格「キムチ」(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
キムチは韓国人の毎日の食卓に絶対に欠かせない特別な食べ物だ。韓国人のなかには、キムチがないと、ご飯が食べられないという人がいる。キムチはおかずの役割だけでなく、ラーメンやほかの食べ物の脇役としても大いに活用されている。キムチは韓国で生まれた乳酸菌発酵食品で、韓国人の誇りと言ってよいだろう。
キムチは寒い冬の間、野菜を保存する方法として、野菜を塩漬けにしたことが始まりのようだ。その後、塩漬けになった野菜にサンショウやにんにくなどの香辛料を入れるようになった。そして、16世紀頃日本から伝わった唐辛子がそこに加わったことで、現在のキムチの原型ができあがったとされる。日本の飲食店ではキムチは注文しないと出てこないが、韓国の飲食店ではキムチは注文しなくても当たり前のように出てくる。注文していないキムチが出されて、驚く日本人が実に多い。また韓国ではキムチは何度でもお代わりができる。どのような韓国料理にもキムチが必ず登場するのだ。
そのようなキムチだが、最近の韓国ではキムチ離れが進んでいるのも事実である。理由はいろいろだが、食文化の多様化が主な原因に挙げられる。若者を中心に食文化の欧米化が進んでいて、ご飯などを食べる機会が相対的に減っている。朝はご飯の代わりにトーストなどを食べることが多くなっているし、お昼もハンバーガーなどを食べる機会が増えている。その結果、韓国ではキムチの摂取量が激減している。
また、飲食店のキムチは中国産のキムチが多くなっており、味の劣化と衛生面などが問題視されているのも原因の一つに挙げられる。キムチは地方ごとにさまざまな種類のキムチがあり、キムチに入れる材料もさまざまだということをご存知だろうか。かつて、キムチは家庭で漬ける自家製のものが基本だった。昔の韓国には晩秋になると、毎年家族や親戚が集まって、冬を越すためのキムチを漬ける「キムジャン」という習慣があった。
漬けたキムチは甕に漬け込み、それを土中に埋めてキムチを保存するようにする。甕から取り出したキムチの味は格別で、筆者はいまでも、その時の味を懐かしく思っている。また、おいしいキムチはその家庭の主婦の自慢でもあった。しかし、それは大家族時代の話であって、現在は核家族化が進んでおり、そのような風習も消えつつある。自分でキムチを漬けるような家庭は段々減ってきている。それどころか、まったくキムチを食べない人すら登場している。キムチの保存方法も、土中に埋めた甕から「キムチ冷蔵庫」への保存へと変わってきている。韓国ではほとんどの家庭にキムチ冷蔵庫が普及している。スーパーやコンビニのキムチを時間が経過してもずっとおいしく食べるための家電製品がキムチ冷蔵庫なのだ。
(つづく)
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