自由診療の現場から~再生医療・PRP(自己多血小板血漿療法)(後)
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福岡整形外科病院 碇 博哉 医長
手術後は「まず動く」早期離床がQOL上げる
――日本社会の高齢化が進むなか、整形外科の分野にも大きな影響が出ているのではないでしょうか。ここ数年で、大きな変化があれば教えてください。
碇 はっきり変わったところは、手術後はなるべく早く動いていただき、リハビリを早くスタートするようにしていることですね。
当院の場合は人工関節への置換手術が多いのですが、術後あまり長い時間お休みいただいていると血栓のリスクがあります。いわゆるエコノミークラス症候群ですね。可能であれば、手術翌日から車いすや自立歩行で動いていただくようにしています。そして、早めにリハビリに移行していただく。僕は当院に15年以上勤務していますが、以前と比べても明らかに早く動いていただくように変わってきています。入院期間を短く、という側面もありますが、それよりも早く動いて早くリハビリに取り組んでいただいたほうが術後の回復も早いのです。とくにご高齢の方こそ、動いていただいたほうが良いですね。
かつては「股関節の人工関節置換術後は3週間安静」といわれた時代もありましたが、今は翌日から動いていただいています。
――術式や人工関節の精度が向上したということもあるのでしょうか。
碇 そうですね。医師の手技も向上していると思います。
スポーツ障害の専門家、アビスパのチームドクターも
――アビスパ福岡のチームドクターとしては、どのような役割をはたしているのでしょうか。
碇 Jリーグの規約で、試合中1人はドクターがベンチにいなければなりません。そのため、チームが試合を行う際には僕を含めた当院の医師が常に帯同しています。僕は昨シーズンから、週1回は雁ノ巣レクリエーションセンター球技場で行われているアビスパの練習にも足を運ぶようにしています。やはり、選手の健康状態やケガからの回復状況は、スタジアムに行くだけではわかりませんからね。現在、当院の医師3名を含めた5人がローテーションでチームドクターとして活動しています。僕は好きですから、どうしても試合数は多くなりますね(笑)。アビスパの選手たちも、PRP療法のことはよく知っています。サッカー選手同士、体のケアについての情報共有はさかんですから、関東でPRP療法を行っている病院のことも知っていましたね。アビスパの選手たちのケガからの回復に、効果が出ることを期待しています。
整形外科単科だからこそ最先端の医療を提供する
――整形外科分野で、今後期待されている新薬などはあるのでしょうか。
碇 リウマチ関係の生物学的製剤(化学的に合成した医薬品ではなく、バイオテクノロジーを用いて生物由来でつくられた医薬品のこと)が注目されています。このタイプの薬は、高価ではありますが高い治療効果が期待されているということです。
あとは骨粗しょう症の薬ですね。ご高齢の方で、いつのまにか圧迫骨折してしまうという例がありますが、このような患者さんに注射すると痛みの引きが早くなるというものです。やはり、ご高齢の方を対象にした薬は数多く研究されていますね。
――福岡整形外科病院さんとしても、新しいお薬や技術には積極的に取り組まれるのですね。
碇 当院は整形外科の単科病院ですから、そこはやりやすいと感じています。整形外科分野で取り入れられるものは可能な限り取り入れて、最先端の医療をご提供したいと考えています。
(了)
<INFORMATION>
(医)同信会 福岡整形外科病院
所在地:福岡県福岡市南区柳河内2-10-50
TEL:092-512-1581
FAX:092-553-1038
院 長:吉本 隆昌
病床数:175床(一般101床・地域包括ケア病棟74床)
診療科目:整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科・麻酔科
診療日:月~土曜日
受付時間:平日 午前8時30分~11時30分 午後1時30分~4時
土曜 午前8時30分~11時30分関連記事
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