譲渡進まぬ産廃業者 期限迫るも許可更新に高いハードル
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福岡市にある産廃処分場運営会社が処分場を一時閉鎖し、別会社への事業譲渡後に廃棄物受入を再開するとしているが、別会社では地主からの土地使用承諾が得られないため、事業再開のめどが立っていない。(既報はコチラ)
事業譲渡を急ぐ背景には10月末に迎える産廃処分業の許可更新があるとみられている。同社には厚労省からの不正受給に対する返還請求や、年金未納などが確認されている。事業を継続するための財務基盤を欠いている状態であり、許可更新は高いハードルになっている。福岡市博多区にある金隈産廃処分場を運営する(株)和幸商会(箭内伊和男代表)は8月初旬、取引先に対し、8月12日から9月17日まで一時的に処分場を閉鎖し、その間、別会社の(株)大和(福岡市博多区、柏田清光代表)に事業を譲渡したうえで処分場を再開すると通知していた。
事業を引き継ぐ予定の大和が産廃処分業の許可を取得するためには、地主の土地使用許諾が必要だが、場内視察を行った地主がそれを認めなかった。違法ゴミや悪臭など適正な処分場運営がなされていないと判断したからだ。9月28日現在、事業譲渡による大和での再開には至っていない。
これまで通り和幸商会での廃棄物受入は可能なのだが、問題となるのは産廃処分業の許可期限。福岡市から処分業許可を得て事業を行う同社だが、今年10月28日に期限が切れることがわかっており、事業継続には許可の更新が必要になる。産廃処分業許可は5年更新で、更新手続には複数の書類提出が求められる。
市に提出が義務付けられているのは直近3カ年の決算書や納税証明書などで、事業の継続可能性が見極められる。同社が所有する不動産の登記簿には日本年金機構からの差押、貸金返還にともなうとみられる2件の仮差押が確認されている。過去の助成金不正受給による返還請求額は約6,700万円で、データ・マックスが入手した2017年3月期の決算書では約5,800万円の債務超過状態にある。廃掃法に謳われている継続的に事業を行う者としての「経理的基礎」を大きく欠いている。これだけの額を納めながら、事業を続けることが可能なのかは甚だ疑問だ。
大和への事業譲渡が進まない。和幸商会としての許可の更新もハードルが高い。同社の迷走、混乱を表す出来事が関係者への取材でわかった。9月14日、同社から取引先に2通のファックスが送られてきた。1通目は同日午前に届いた。内容は9月18日に再開するとしていた廃棄物受入を同月25日に延期するというもの。送り主には、和幸商会と大和が連名で記載されていた。
そして、午後になってもう1通のファックスが届いた。内容は1通目が「錯誤」であり、再開時期は未定だとするもの。なぜか2通目のファックスには事業譲渡予定先である大和の名前が消えている。午前に再開時期を知らせながら、数時間後に打ち消したのには、何か明確な理由があるのだろう。取材に応じた取引先は和幸商会の異例の対応に「再開に向けて手配していたのに、非常に困惑している」とコメントしている。
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金隈産廃処分場は近年、再三にわたり、福岡市より行政指導を受けていた経緯がある。昨年7月に福岡市は安定5品目以外の産業廃棄物の処分を求めて改善命令を発令し、同11月には処分を終え、改善命令が解除。今年に入り、一連の乗っ取り事件が発覚していた。
【東城 洋平】
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