福岡市長・高島宗一郎氏は2日、11月4日告示、18日投開票の市長選に出馬する意思を表明した。高島氏については、懇意にする安倍首相が、「首長にも優れた人材がいる」などと暗に示唆していたこともあり、政界関係者の間で、同日発表された第4次安倍内閣への入閣が取り沙汰されていた。残念ながら、国政に入り込む余地はなかったようだ。
高島氏は、選挙直前ともいえる10月まで市長選への態度を保留。かねてから進退について「公の場で正式表明する」としながら、一部会派(61名中3名)の熱烈要請があった市議会ではなく、組閣人事が明らかになりつつあるなかでの表明となった。
「公」とは狭義で、政府、役所または国家、広義で、共有や公共を意味する。質問権限が記者クラブ所属のマスコミにのみ与えられた定例記者会見は「公の場」とは言えまい。誰もが4日から開かれる市議会決算特別委員会、すなわち正当な市民の代表者たる市議会議員が集う「公の場」で正式表明するものと思っていた。
実際に、2期目の再選をはたした2014年の市長選では、高島氏は、市議会(決算特別委員会)において出馬意思の表明を行っていた。市長を8年もやって、いまだにこの辺の理解が足りていないのかもしれないが、またしても「議会軽視」との批判が起きるだろう。
時系列でみると、今回の出馬意思表明の発表は第4次安倍内閣の組閣人事を待ってのものであり、高島氏に二心があったと見られてもおかしくはあるまい。高島氏は9月28日に首相官邸を訪問し、組閣人事で頭がいっぱいの安倍首相と15分ほど面談している。限られたポストの割り振りに神経を使わざるを得なくなっている安倍首相にとっては、中央での知名度がない高島氏の処遇は二の次の話。高島氏の登用は無理という状況だった。
【山下 康太】
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