コーヒー戦争の行方は?(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
コーヒー産業は大きく3つに分けることができる。栽培、収穫、精製(第一段階)と運送、ブレンディング、ロースティング(第二段階)それから抽出、サービスなど(第三段階)である。第一段階はコーヒーを栽培する農家がこれに当たる。
第2段階は、ロースターというネスレのようなグローバル企業が担う。第三段階にはコーヒーショップのチェーン店などが該当する。先進国のコーヒー会社はコーヒーを生産する農家からコーヒーを安く購入し、これを加工、流通することによって莫大な利益を上げている。コーヒー市場の世界規模は約2兆3,000億ドルで、2022年には現在より15.6%市場の成長が見込まれている。現在、コーヒー市場では銃声なき戦争が繰り広げられている。この巨大市場で有利な地位を占めるため、コーヒーの加工流通会社はM&A、新市場開拓、新製品開発などでしのぎを削っている。過去6年間。コーヒー関連のM&A金額は2,500億ドルに上るという。
コーヒー市場は市場再編が進み、スターバックス、ネスレ、JABホールディングス、コカ・コーラなど巨大企業へ集中されつつある。コカ・コーラは昨年8月、イギリス最大手であるコスタ・コーヒー(Costa Coffee)を39億ポンドで買収し、コーヒー市場に参入した。コスタ・コーヒーは1971年に設立された会社で、イギリスを始め、世界32カ国で3800店舗を運営している。店舗数ではスターバックスについで世界2位にランクインしている。
この買収は世界の人々が健康に気をつかうようになり、炭酸飲料を敬遠するようになると予想したコカ・コーラが今後、市場成長性の高いコーヒー市場に参入するための足掛かりとするための企業買収だと分析されている。コカ・コーラがコスタ・コーヒーを買収することにより、世界一のコーヒー市場(480億ドル)である米国で、スターバックス、ネスレなどと競争できる足場を築いた。
コカ・コーラは、まず米国市場を中心に、コスタ・コーヒーの店舗と自動販売機を増やし、コスタブランドを世界的なブランドとして育成していくと同時に、ブランド力を活用した家庭用コーヒーとインスタントコーヒー製品も販売する計画である。
売上高世界1位のコーヒー会社であるネスレも、昨年9月に「コーヒー業界のアップル」と呼ばれるブルーボトルコーヒーの持ち株の68%を4億2,500万ドルで購入した。すでにコーヒー市場でナンバーワンのネスレは、ブルーボトルコーヒーを買収することによって、ブルーボトルの強みであるスベシャルティコーヒーに力を入れようとしている。
スペシャルティコーヒーとは、コーヒー豆の種類、香りなどにこだわったコーヒーのことをいう。スペシャルティコーヒーは先進国を中心にじわじわ需要がのびている。米国の場合、市場の半分はスペシャルティコーヒーで占められている。
全世界で2万9,000店舗以上を展開し、コーヒー豆に強みをもつスターバックスも、高級コーヒー豆で抽出したスペシャルティコーヒーを販売するスターバックスリザーブ店舗を増やすことで差別化を図る戦略をとっている。このようにコーヒー市場では現在し烈な競争が進行中で、今後の行方がどうなるか注目されている。(了)
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