もう1つの資金調達の手段となった「ICO」(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
最近4年間の全世界のICOの調達資金は約200億ドル(2017年だけで60億ドル)で、このなかで韓国企業が発行したトークンの金額は5億4,430万ドルである。しかし、残念ながら韓国企業のICOはすべて海外で行われたものである。
韓国では仮想通貨のICOを禁止したり、仮想通貨の取引のための口座開設を許可しなかったりなど、仮想通貨に対する規制が厳しくなっている。一方、米国、日本、ドイツなどの先進国では、仮想通貨を既存の金融資産と同じようにしていくために規制だけではなく、法整備も進めている。もちろんICOも禁止していない。シンガポールではICOとブロックチェーン事業を政府が支援し、世界各国から資金と企業が集まっている状況である。
米国もいち早く仮想通貨を金融資産として規定している。米国国税庁は2014年に「仮想通貨は資産扱いになる」というガイドラインをつくり、仮想通貨に所得税·法人税·譲渡所得税を課税している。また今年初めには世界初の仮想通貨の先物取引も導入している。石油·農産物と同じように、仮想通貨も先物取引ができるようにしたわけである。 ICOを許可するかわりに、株式市場に上場する際に要求されるような厳しい基準が適用される。
日本では2014年当時、世界最大規模の仮想通貨取引所であったマウントゴックスが破産した経験があるので、投資家保護のための法整備に取り掛かかるようになった。17年には「改正資金決済法」 を施行し、仮想通貨が支払い手段として認められ、取引所の登録制を導入された。このような流れを受け、日本では仮想通貨で家電製品を購入したり、電気料金やガス代金を仮想通貨で支払ったりすることもできるようになった。その結果、昨年末全世界のビットコインの40%が円貨で取引されるほどになった。
アジアの金融ハブとしても有名なシンガポールは、ICOと関連して、サンドボックス(新産業を育成する目的で、一定期間規制を全部免除する制度)を導入し、アジアのブロックチェーンのハブとして浮上しようとしている。シンガポールは過去4年間で17億9,740万ドルの資金をICOで集め、全世界で米国につぐ2位にランクされている。ICOの金額においては、韓国(3,890万ドル)より40倍も多い。このような状況下、仮想通貨の取引量で世界の上位にランキングされていた韓国の取引所上位3社は、韓国政府の規制を回避するため、取引所をシンガポールなど、海外へ移転することを検討している。
筆者は先週、取引所関連の仕事でシンガポールに行ってきたが、韓国だけでなく日本からもシンガポールへの移転を検討している企業が多く、今後シンガポールは仮想通貨分野でもかなり頭角を現す可能性が高い。
ICOは今までと違う、負担の軽い資金調達方法で、実績の少ない企業にも資金調達の道を開いてくれるので、これが定着すると、結果的に世界経済の発展にも寄与することになるだろう。
(了)
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