2024年09月01日( 日 )

県への宣戦布告?福岡市が市政だよりで宿泊税特集

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財源問題が政争の具に?

 福岡市は、広報紙「福岡市政だより」の11月1日号で宿泊税の特集を組んだ。特集では、質問に応えるかたちで宿泊税の仕組みを解説しているが、なかには「なぜ県ではなく、市が徴収するの?」との質問に対し、「玄関口の施設の整備」として博多港や博多駅などの整備に「相応の費用が必要であり、その財源を確保するために、宿泊税は市が徴収すべき」と主張するものも。「市が行っている『九州の玄関口』の整備・運営(主なもの)」として、表で施設ごとに国・県・市でどれだけ負担したかをまとめている。

 「これは県への宣戦布告だ」。この特集を見た県政関係者は断言した。前出の表(画像参照)では、県費の欄がすべて「0円」。さらに今後、交通拠点の整備や国際会議などを行うための施設、交通混雑対策などに宿泊税を活用することも考えられるとしている。「まだ検討中にも関わらず、ここまで大々的に広報紙で取り扱うのは見たことがない。市民の支持を得ようとの思惑がうかがえる」(同)。

 宿泊税をめぐっては福岡県も導入を検討中。しかし、市と県で調整が進んでおらず、このまま双方が導入すれば二重課税の問題が発生する。10月の福岡県議会で、小川洋知事が議会側の要求に対し、“政治生命を賭して”高島宗一郎市長とのトップ会談に臨むと答弁しているが、現時点で、実現のメドは立っていない。「11月4日から市長選の選挙期間となる。小川知事が結果を問われる12月議会(12月3日開会)まで、時間的猶予はわずか。市政だよりに見られる市の強硬姿勢から会談が行われる可能性は低い。宿泊税にかこつけた来年4月の知事選に向けた“小川おろし”だ」(同)。観光振興やインバウンドの取り込みが経済活性化の大きなテーマとなるなか宿泊税は大きなテーマ。政争の具にせず、真剣な議論を行っていただきたい。

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【山下 康太】

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