2024年11月29日( 金 )

セックスロボット登場~進化するロボット(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 専門家は2050年ごろには人間とロボットが性交渉をもつのが普通のことになると予測している。それでは、なぜセックスロボットが誕生するようになったのだろうか、またその背景にはなにがあるのだろうか。

 近年、インターネットが普及して、パソコンで用事を済ますことが多くなった。それにより人とコミュニケーションをとる時間が減少した。人とうまくコミュニケーションがとれないと悩んでいる若者も多いようだ。また中国のように結婚できない男性が多数存在することも背景にある。このような孤独な男性のための性具は、とても人気がある。そして、性具の発展形としてセックスロボットが求められるようになることは容易に想像がつく。

 セックスロボットの登場を肯定的に評価する意見もある。消極的な性格だったり、体が不自由だったり、または高齢でパートナーがいなかったりすると、このような性的パートナーが必要になるかもしれない。性的欲求を解決する方法を提供することによって、性犯罪防止にもつながるという。将来、セックスロボットが売春の相手になるかもしれない。セックスロボットによる売春は、ヨーロッパではすでに導入されているし、米国でも本格的な動きがあるようだ。

 ロボットとの関係に時間を費やすと、人間との友情を築けなくなる可能性があると専門家は指摘する。ロボットとの関係は人間関係よりも単純なので、人間関係の構築に努力しなくなる人が増えることも考えられる。女性目当てで飲み会に行く人も多いと思うが、そうした飲み会の回数も減ってくるだろう。

 ロボットはセックスの回数に制限がないし、本当のセックスを凌駕する楽しみを提供してくれるかもしれないので、専門家は「セックス依存症」に陥る恐れがあると指摘している。性的な刺激に溺れやすい若者にとって、セックスロボットの登場は危険である。

 このようにセックスロボットは、さまざまな弊害をもたらす可能性がある。異性に対する好奇心、配慮、対話によるコミュニケーション能力の向上、それに純粋な愛など、人類が今まで大切にしてきた価値観がセックスロボットの登場によって消え失せる恐れがある。ただ、どんなに規制しても、セックスロボットの普及が止まることはないだろう。

 セックスロボットは、性機能障害や性行為について不安を抱えている人々に、性的癒しを与えられる可能性があり、孤独も軽減してくれるだろう。その一方で、上記で指摘してきたような弊害がでてくるのは間違いない。今後、どのように人間とロボットと共存していくべきか、真剣に議論をしていかなければならない。

(了)

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