2024年11月16日( 土 )

【福岡市長選】なぜ、いまごろ?自民党が高島氏を「支持」

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党県連通さず直接要請

 18日投開票が行われる福岡市長選。15日、自民党は、現職の高島宗一郎氏(44)を「支持」することを決めた。高島氏は、自民党福岡県連を通さず、直接自民党本部に要請。「支持」の決定に福岡県連は理解を示しているという。

 高島氏は2010年の市長選で、自民党市議団が擁立するかたちで出馬。政党の推薦はなかったが、選挙中に自民党と公明党の「支援」を受け、初当選した。再選を決めた14年の市長選では、自民党、公明党の推薦候補に。投票率は、前回比4.9ポイント減(38.73%)と低下したが、過去最高得票数となる25万6,604票を獲得し当選していた。

 日本共産党推薦の新人・神谷貴行氏(48)との一騎打ちになった今回の選挙。自民党市議団との対立を深めていた高島氏は、2期8年の実績を掲げて「マスト事項ではない」として、あえて政党の推薦を求めず。自分の実力を見せつけ、その後の市政運営を優位に進めるはずだった。

支援できない理由「ロープウエーは悪夢」

 しかし、有権者125万8,232人の大型選挙のムードを盛り上げるためには、相応の規模の選挙体制が不可欠だ。2週間という限られた期間、個人が「ドブ板選挙」をやっただけでは限界がある。2期8年、高島氏自身が、地元回りなど政治活動を熱心に行い、市民レベルの後援組織をつくりあげていたのであれば話は別だが、それもない場合、それぞれ後援組織をもつ自民党地方議員の存在は選挙ムードを盛り上げるうえで欠かせない。

 高島氏の陣営は、よほど選挙を知らないのか、あるいは驕りか。地方議員には支援したくない“理由”もある。「私の夢」と公約に盛り込まれたロープウエーについて、「市民には疑問の声も多く、市議会で話にもなっていないものを公約とされては困る。むしろ『悪夢』だ」(市政関係者)とのこと。さらには、高島氏が神谷氏陣営の呼びかけに応じず、今や選挙の定番となっている公開討論会に参加しないことも盛り上がりを欠く要因である。

 今回と同様に現職と新人の一騎打ちだった1994年の同選挙における過去最低投票率31.67%を下回る可能性も出てきた。3期目の再選で、力を見せつけて政治基盤を盤石なものとしたい高島氏にとっては格好がつかない。選挙戦最終日のあす17日、高島氏の後ろ盾である自民党・麻生太郎副総理兼財務相が福岡市入りしてテコ入れを図る。急きょ取り付けた「支持」は、麻生氏来援の体裁を整えるためだ。

 政党に頼らないという当初の方針を180度転換した、駆け込み的「支持」要請。結局、市民の声を拾うとした政治活動を断念したということ。短期間で言ったことをひっくり返す、その姿勢は、「アジアのリーダー都市」を目指すリーダーとして心もとない。

【山下 康太】

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