2024年11月29日( 金 )

中国経済新聞に学ぶ~ファーウェイ排除 日本企業に悪影響(前)

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 日本政府は10日、中国の通信機器メーカー「ファーウェイ」と「ZTE」の製品を政府調達品から排除し、民間企業もこれにならうようにと求めた。その理由は、中国製の機器に他国の機密情報を盗み取るソフトが組み込まれ、国の安全が脅かされるからとのことである。

 この方針に真っ先に反応したのがソフトバンクである。ソフトバンクは、ファーウェイの技術や機器を利用している4Gの基地局すべてについて、北欧の通信機器大手エリクソンとノキアのものに置き換えていくと決定した。また、次世代の通信規格「5G」でもファーウェイを排除し、エリクソンとノキアから調達するという。ただし、ソフトバンクの基地局のうちファーウェイ品を導入しているのは10%程度であるが。

 ところで日本政府は、今年7月の時点で米国から、中国への貿易制裁としてファーウェイとZTEの通信機器を使用しないようにと圧力をかけられており、5カ月経ってからようやくそれに応じたのである。それには以下3点の理由がある。

 まず、安倍首相は10月に訪中を予定していたので、トランプ大統領の横やりを防ぐ必要があった。2012年末に首相に就任してから初めてとなる中国への公式訪問を中止にするわけにはいかなかったのである。

 次に、中日両国は全力で第三国市場の共同開発をするところであり、ファーウェイはまさしく両国の技術や市場連携のモデルであった。ファーウェイは、日本の電子部品を大量に購入しており、また横浜と東京の研究所で5Gの開発を手掛け 、そして日本の通信会社も加わって両国の技術や先進性を備えた携帯電話を作り、早期に第三国に進出して好評を得ていた。

 そして3つ目は、ファーウェイは半導体や電子部品メーカーを中心に日本の多くの企業の大ユーザーであり、日本製部品の年間購入額は5,000億円(約300億人民元)に達しているからである。

 しかし日本は、ファーウェイの孟晩舟副会長がカナダで逮捕された後に態度を変え、米国に追随するようになったのである。

 多くの日本企業にとって、政府の決定を支持するのは苦しい決断だっただろう。というのは、ファーウェイに勝る品はすぐには手に入らないからである。

 ソフトバンクのある幹部は、ファーウェイの製品は他社品より性能もよく割安だという。またソフトバンクも、5Gを初めファーウェイの通信機器を大量に購入しているので、ファーウェイの排除は非常に痛いところである。ソフトバンクの去年のファーウェイ通信機器購入額は300億円であった。

 そして、ソフトバンクとNTTドコモは、ここ10年間ファーウェイの無線ルータを利用している。去年の日本の通信機器のうち、ファーウェイのシェアは13%であった。2011年3月、東日本大震災で津波や原発事故が発生し、無線基地局が被災し電波が途絶えた。ファーウェイの孟副会長は地震の1週間後に東京に飛び、社員を引き連れ、福島の被災地にある基地局で放射線防護服を着て復旧作業に当たったのである。

(つづく)


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