電磁波に関する誤解と真実(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
私たちは電磁波を発生させる多くの電気製品や通信機器に取り囲まれて生活している。このような製品は私たちの生活を便利にしてくれる反面、一方で電磁波による人体への悪影響も懸念されている。そのなかでも高圧送電線や電子レンジは人体に悪い影響を与えているとされているが、現代人の生活に欠かせないスマホやパソコンなどは、どうだろうか。
今回は私たちが何となくその影響について不安に思っている電磁波について取り上げてみよう。結論から先にいうと、スマホやパソコンのような電子機器から発生する電磁波は微弱で、人体にほとんど影響がないというのが最近の定説となっているが、電磁波の影響については、今でも科学的な研究が続けられている。基準値を下回る弱い電磁波は人体に影響を与えないものの、強い電磁波に継続して晒されることは避けるべきだと専門家は助言する。
数年前、スマホから発生する電磁波により腫瘍を引き起こしたという研究結果が米国で発表され、全世界が騒然となった。米国国立保健所傘下の機関で行われた実験で、携帯電話の電磁波を10分間ずつ(10分休憩)、1日9時間、2年間ネズミに当てたところ、一部のネズミから脳に神経膠腫が、心臓では神経鞘腫が発生したという。一方、豪州のシドニー大学の研究チームは30年間蓄積したデータを分析した結果、携帯電話が急激に普及しているものの、脳腫瘍の発生率が増加していないという結果を発表している。またニューヨークタイムズの報道によると、イギリスでは100万名の女性、デンマークでは35万名を対象に、腫瘍と電磁波の相関関係を研究したところ、電磁波と腫瘍の相関関係は見つからなかったという。このような状況の中、世界保健機構(WHO)が、携帯電話は脳腫瘍を引き起こす可能性があると2011年に発表した。
それでは、電磁波とは何だろうか。電磁波とは、家電製品などから発生する電気の波のことで、空間の電場と磁場の変化によって形成される波である。電磁波は波と粒子の性質をもっていて、波長の違いによって性質が変わってくる。電磁波はすべての物質を通り抜けて熱変化を起こす性質をもっており、通信から医療に至るまでさまざまな分野に利用されている。
電磁波が人体に与える影響に熱作用、非熱作用、それから刺激作用がある。熱作用というのは、人体が高波数で、強い電磁波に晒されると、体温が上がることを指す。非熱作用とは、微弱な電磁波を長時間浴びた時に、発生する熱以外の作用を指す。刺激作用とは、周波数が低く、強い電磁波に露出されたときに、人体に誘導された電流が神経または筋肉を刺激することを指す。
(つづく)
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