2024年11月30日( 土 )

韓国の農水産物輸出と海苔の躍進(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 韓国の海苔は、ぱりぱりした食感とごま油の風味で、日本でも人気が高い。筆者も日本人へのお土産として韓国海苔を持参することが多い。
海苔は韓国の水産物の輸出商品のなかでは2位にランクされており、今後さらなる輸出の増加も期待されている。今回は韓国の農水産物の輸出状況と海苔について取り上げてみよう。

 海苔は韓国人の日常生活で、とても愛されている食品の1つである。海苔にはビタミンA,タンパク質、カルシウムなど、栄養素が豊富に含まれているだけでなく、ご飯と一緒に食べやすいので、おかずとして重宝されている。
海苔はご飯のおかず以外にも、ラーメン、お雑煮、おにぎりなど、いろいろな食品に脇役として活用されている。このように食卓には欠かせない海苔は三国時代(高句麗、新羅、百済)から採取されたという記録がある。韓国で海苔の養殖に初めて成功したのは、17世紀頃だとされている。

 世界的に海苔の養殖を行っている主な国は韓国、中国、日本の3国だが、そのなかでも、韓国の海苔は価格に比べて品質がよく、定評がある。海苔の生産量においては、1位は韓国(122億枚)で、中国は2位(45億枚)である。海苔の標準化においては、韓国海苔が国際食品規格委員会(CODEX)でアジア標準として認められ、海苔の輸出においては有利な地位を占めることになった。

 韓国人は海苔が大好きで、1年間に100億枚の海苔が消費されているようだ。韓国海苔のメインは乾燥海苔ではなく、海苔にごま油やエゴマ油を塗った後、塩を振った味付け海苔である。

 韓国の味付け海苔は、ぱりぱりした食感と油の風味で世界的な人気を呼び、米国をはじめ世界90カ国以上に輸出されている。韓国で生産された海苔の輸出割合は、昨年37.4%だった。2007年の海苔の輸出割合は10.5%だったので、4倍近く輸出が増えたことになる。韓国で生産されている海苔のなかで約4割は輸出されていることになる。

 海苔が海外でも人気がある理由は、海外では、海苔はポテトチップ、ポップコーンなどを代替する低カロリースナックとして人気だからだ。それでは、韓国の農水産物の輸出状況はどのようになっているのだろうか。

 2007年、38億ドルだった農水産物の輸出額は、昨年、前年同期比7%増の91億ドルを記録している。輸出相手国は195カ国にもおよぶ。

 韓国の農産物のなかで、とくに躍進している品目はというと、パプリカ、イチゴ、キノコを挙げることができる。もともと日本市場のパプリカはオランダ産で占められていたが、韓国のパプリカが、その市場に食いこみ、市場シェア70%を占めるようになっている。昨年の輸出額は9,000万ドルとなっている。

 イチゴは東アジアに輸出され、とても好評である。昨年の輸出額は4,200万ドルだった。キノコは主に欧米向けに輸出されている。欧米ではステーキとともにキノコが提供され、消費されているようだ。タバコの輸出も順調である。タバコの輸出額は10年間で3倍ほど成長している。昨年のタバコの輸出額は11億ドルである。

(つづく)

(後)

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